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2005年06月29日

日記: 6/29

親知らずの手術の日。
事前にたっぷり脳内シュミュレーションしたので恐怖感はあまりない。ダメ押しと称して、最近同手術を受けた従兄弟に電話して予後の詳細を教えてもらう。食事や腫れ具合についてひとしきり話したあとで彼は言った。
「おばちゃんのいうことは信じない方がいいよ、最近の医学はかなり進歩しているから」
おばちゃんとはうちの母のことだが、なんでも今度親知らずを抜くんだというと「あれはひどいわよ、私なんて痛くて失神したから」と脅されたらしく、彼は直前まで恐怖におののいたそうだ。母さんも罪つくり・・・
昨日はお酒もほどほどに睡眠もたっぷり、万全の体勢で手術に臨んだのだが、やはりいざあの椅子に座ると心臓がばくばくする。恐怖の椅子大会があったなら確実に銅メダルをもらえるな(銀は産婦人科椅子、金は電気椅子)などと思ううちに、無情にも椅子はゆっくりと倒されていくのだった。
これが地獄の始まりだった。
一本目の麻酔を打ってしばらくすると、呼吸が荒くなって手足がしびれてきた。典型的な脳貧血の症状。実は以前2本抜歯した時にも、怪我の外科処置の時にも脳貧血を起こした。麻酔薬と関係しているのか、痛みに対する防御なのか、原因はよくわからない。とにかくまた起こしてしまった。
血圧もぐっと下がり顔面蒼白になっているらしく周囲がばたばたと慌ただしくなった。「大丈夫?」と心配そうに医者が覗きこむが、麻酔が効いていてうまく喋れない。弱々しく両指で三角マークを作ると、医者はちょっと笑って「休みながらゆっくりやりましょう」と言ってくれた。
この時点ではまだ親知らずのおの字も抜けていない。前途多難である。

貧血が落ち着いていざ切開。何しろ特大の親知らずなので、いくつにも分割しないと抜けないらしい。ドリルで歯を割っていく。虫歯を削る時はきゅい〜んという意地悪い音がするが、今回はがごごごごという悪魔のような音がする。麻酔の効きが甘いのか、時折神経に触って痛い。痛いと知らせると麻酔を追加する。すると貧血を起こす。休む。再開する。貧血。休む。ふう。
「あとどれくらい・・・?」と息も絶え絶えに聞くと「まだ頭しか抜いてないからあと30分かなあ」と言われてがっかりする。と同時にもうすべてがどうでもよくなってしまい、ある意味簡単な女になった。猛々しく抵抗していたのに、急に全身の力が抜けて目が虚ろ、というやつだ。

それから終盤にかけては、口の中で土木作業員がハッスル!ハッスル!
ドリルフル回転、とんかち連打、ペンチ牽引、歯がみしみしと苦しげな声をあげる。「グラナダ陥落」とか「大坂夏の陣」とかの文字が意味もなくちらつき始めた。敵はしぶとく、なかなかおちない。医者も「まだだめか」とつぶやいている。看護婦に顎を押さえられ、唇をひんむかれて、私の顔がこの生涯でもっとも乱れている瞬間だなあと思った。歯医者ってエロいな・・・とよからぬことを想像し始めた矢先、めりめりめりっという音とずきんという痛みが襲い「ああ、抜けた抜けた」と安堵まじりの声が聞こえて、私は思わずガッツポーズをしたのだった。
その後歯茎を縫合しておしまい、実に1時間半の手術が無事に終わった。
(次回につづく)

と、親知らずの手術は安堵と疲弊のうちに終了したわけだが、でもそれってそんなに大変なわけ?と言われれば、そんなことないです。
ずいぶん恥じているのだけれど、私はどうも痛みにビビってしまっていけない。仕方のないことだが、本当なら貧血なんて起こさずにあれくらいの手術は平然とこなしていたいのに、身体が許容範囲を越えてしまってついていかない。私は「強い」のが好きなのにこれじゃ台なしだ。自分が思うほど私は強くない、というのが最大のコンプレックスかもしれないなとぼんやり考えた。
というようなことを言うと、いやいや根性論はいけませんよ、とか、人はそれぞれですから、とかいう輩が多くてうんざりするけれど、そうではない。弱さを個性と呼んで格上げしたところで何も生まれねっす。自分を追い込んだ彼岸にこそ地平は広がるっす。と意気込んだところで、では明日あたりもうひとつの埋没親知らずを手術しましょうと言われたら、ううむ、やはり嫌ですね・・・

麻酔と痛み止めで朦朧としながら家に辿り着くと、そこにとんでもない光景が!
祖母の部屋の入口にズボンが脱ぎ捨ててあり、その一歩先にはおむつパンツ(サルバDパンツ)が放られてあり、その先のベッドには祖母がすっぽんぽんで横たわっていた。強姦?ではなく、独り遊び?のはずもなく、うんこなのだった。
祖母なりにうんこと激闘した模様で、なんとか便器におさめるべく努力のあとが見られて微笑ましい。家に誰もいない時にどうしたものか、とパニックになったが、どうしようもないのであきらめて寝ていたそうだ。ナイスチョイスだと勉強になった。
夜はさすがに酒も飲みたくないし何かするがしなかったので、『24』シーズン3を観ることにした。何も考えずに観てればいいので抜歯後最適フィルムであった。ジャックは相変わらずのタフガイで、きっと親知らずの手術なんてへっちゃらなんだろうなあと思ったら急にかっこよく見えてきた。
そうだ、目指せジャックだ、とつぶやきながら寝た。

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2005年06月27日

日記: 6/27

YAWARAちゃんのキラキラした笑顔の話ついでになぜだか禅智内供の鼻の話になって『鼻』はどんな小説だったかしらと読みたくなって、深夜に本棚をもそもそ漁って読んでみたらものすごくおもしろくて驚いた。
鼻を茹でて踏むだとか、鼻を板で持ち上げてもらいながら飯を食うだとか、その板を腕白坊主が振り回して「鼻をいじられるんじゃねえぞ」と囃しながら犬をいたぶるだとか、ギャグセンスが卓越していてやっぱり芥川龍之介は偉大なのだった。
私は鼻が必要以上に大きくてへんちくりんだから、余計に反応しているのかもしれないが、目や耳のように2つあるわけでもなく、顔のまん中に鎮座ましましているといった風情、鼻はかなり特殊な器官だ。この話は、鼻だからこそ成立しているのだなあと納得した。
「おばあちゃん、私って鼻大きいねえ?」と試しに聞くと「太いけんど、顔も太いけん、かまやしない」と言われた。正しすぎて頭がくらくらした。
太陽がぎらぎらのここのところ、誇大妄想かもしれないが、そんなわけで鼻から焼けていく気がする。私は予想外に色白なので、こんがりというよりは赤焦げの方が的確だ。今も鼻だけがまだらに赤くて、いつもにもましてふくれているようで、なんというか、禅智内供が愛おしく感じる夕べである。

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2005年06月26日

日記: 6/26

元町に友人たちのライブを聴きに行く。
東横線の長いトンネルを抜けると元町であった。夜の底が白・・・くはなかったが、それはもう唐突に元町のど真ん中で驚いた次第。
パブのような小さな場所での演奏だったので、じっくり鑑賞できた。ボーカルの女性の胸もいつもより大きく見えた。
お客さんの中に知った顔があった。昔あんまりよくない思い出のある人だったので、すれ違っても知らないふりをしておいた。向こうも私に気づいたようだが同時に私の殺気にも気づいたようで、「しおりちゃん?」みたいなうっかりな挨拶はなかったので安心した。もし挨拶されたら「すいません、覚えてないです」と言うのか、わざとらしく「ああ、あなたでしたか」と言うのか迷うところだが、ぞんざいという点ではどちらも同じように思う。
それなりに生きてると、グラスの水あかのように、気まずい人間関係がたまっていくものだ。うっとうしいけれど引き受けなきゃいけない。
友人夫妻としばしビールを飲む。
夫婦喧嘩の話を聞いて大笑いした。私は喧嘩を笑えない方向に持っていく名人なので、そういうのは羨ましいと思う。人並みに怒りを感じてもそのときは仏頂面でやり過ごし、怒りをため込んで倍増させたうえで10000字くらいの怒りの文書を送りつけて、十分な話し合いのあと解決と思いきやしつこく根にもつ、そう、私はバイ菌みたいな女につき。
帰宅後祖母の部屋をこっそりのぞいてみると、両手を胸元で組み両足をぴんとのばしてすやすや寝ていた。昼間にリサーチしたところによると「もうそろそろ入るけん、お墓の掃除をしよるんよ」とのことだったので(そういう夢をみたという意のはず)合点のいく棺桶ポーズだった。
「あと2、3日ってとこじゃ(命が)」と死亡予告をするようになった祖母だが、幸運にも予告はことごとくはずれている。「あと10日じゃな」とか「一年はもたん」とか、微妙に伸び縮みするのがおかしい。本当に死んでしまったら悲しいので、戯れ言で済んでいるうちが華だなと思っている。

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2005年06月25日

日記: 6/25

うだるような暑さだ。梅雨なのにちっとも雨が降らない。桃も梨も全然育たない、と農家の人が泣きそうになっていて気の毒だ。ダムも枯渇していて、ブロック塀を結わえられた死体が出てきたそうだ。沈めた人ももう見つかっちゃったの!?と慌てているかもしれない。
人間ががんばって色んな発明をしたり傾向と対策を講じたりしても自然には到底かないっこないということなのか。よく考えてみると、遺伝子組み換えとかができるのに津波で12万人が死んでしまうなんてちょっとおかしい感じだ。徹夜で勉強したのに試験に寝坊して落第、のような虚しさがある。そんな本末転倒にならないように、日本も携帯電話とか高層ビルなんかにかまけてないで、農作物がちゃんと育つように工夫すればいいと思う。自然はまあなんとかなる、なのか、自然はもうどうしようもないですよ、なのか、いずれにしてもおざなりなので不安になってしまう。

日がちょっと陰ったのを見計らって外出する。
自転車を買った。最寄り駅までは徒歩8分なのでいらないと決めつけていたが、乗れば想像以上に短時間で遠くまで行けることに気づいた。運動にもなる。最近はプジョーとかジャガーとか、かっこいい自転車がたくさん売り出されていて憧れるが、かごがついてないし必要以上に体が前のめるし、30才女子向きではないので平凡なブリジストンを選んだ。
乗り心地を試すべくサイクリングで成城石井まで。
私は免許を持ってないので「愛車」の感覚がわからなかったが、少し走ってみると今後も仲良くやっていけそうな気がして、にわかな「愛車」感にひたる。川沿いの道を風を切ってびゅんびゅん走って爽快だった。
人との相性もさることながら、ものとの相性はけっこう大事だ。今使用しているパソコンはMacのiBookだけれど、これはなかなか気に入っている。メールとインターネットとワープロ機能のみの使用なのでパソコンとしてどうなのかはよく知らないが、なんといってもキーボードの打ち心地が最高だ。沈みこみ具合も硬さも打音も絶妙で、このパソコンになってから文章をたくさん書きたいと思うようになった。それに比べてもう一台の東芝のノートは腐った豆腐のようなキーボードなので文章を書くのも全然楽しくない。WINDOWSのえげつない色彩センスも手伝って、気分が暗くなる。やはり気に入ったものを使わないと、世界はぐっと狭まってしまうと思った。

成城石井で特売品を手際よく買う。折り込みチラシを熟読していった成果だ。ペリエとかディチェコのパスタとかジャックダニエルとかを買いためる。夜は豚キムチ炒めとポルチーニ茸のパスタ、白ワインなど。
オーストラリア人に勧められた、豪州産のEAGLEHAWkというワインがある。わりと美味しいシャルドネが840円。この夏はこれで乗り切るつもりだ。
ここのところ実はやらなくてはいけないことがあるのだけれど、やりかけてはあきらめたり、やっても集中力がなかったり、やらなきゃと思って焦ったり、あんまり楽しくない。逃避して酒を飲んだり日記を書いたりして、また嫌な気分になる。えいやっというガッツはいつになったら湧くのだろうと他人事のように思ったりしている。でもこのまま放っておいてもどうしようもないので、来週あたりから本気を出すかなあとぼんやり考えた。
それにしても馴染み深いこの倦怠感、小学生の頃から繰り返し味わっている。人はそうそう変わらないのだなあ。
ブラジル×ドイツ戦を観てから寝る。普通の試合だった。
うだるような暑さは夜半を過ぎても続いていた。

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2005年06月23日

日記: 6/23

猛烈に早起きをしてサッカー観戦。
近年のベストゲームではないだろうか。早いパス回しにしても、しぶとくねばる気持ちも、一皮むけた感があった。さすがの鬼軍曹も試合後はいつもより柔らかい表情をしていたのでほっとした。
にしてもサントスはちょっとボールを取られ過ぎだ。ジーコが彼を変える気がないのも残念だ。小笠原も前半はいいのにすぐ疲れちゃうところが惜しい、どうしても小野くんが恋しくなってしまう。みんな一年間たくさん練習して強くなってほしいなあ。
私は試合開始前はいつも心が踊ってしかたない。どんな早起きも吹き飛んでしまうくらい、わくわくする。ホルモンバランスとかもよくなりそうな気がする。このかさついた30代、そんなふうに入れこめるものがあって助かったと思う。W杯がものすんごく楽しみです。

今日はそれ以外はいいことが何もなかった。
無茶な早起きのせいでずっと夢の中にいるようだった。それでも災難は容赦なく襲いかかった。

・眼鏡の玉がぼろっと外れて、修理に30分かかる。ネジと格闘する私の姿をみて母が「しょ、しょうがいしゃ・・・?」と呟いた。
・隣の家がリフォーム工事をしていて、一日中歯医者に虫歯をいじられている気分だった。
・祖母のうんこが顔面に飛び散った。腹いせに祖母の財布から札をくすねる。
・そのバチがあたったのか、夕方から下痢になる。お尻がひりひりして辛かった。
・電話の声が大きくて脳天がずきずきする、とミックに苦情を言われる。

いじけて午前1時にふて寝。

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2005年06月21日

日記: 6/21

調べたいことがあったので『cobalt』という雑誌を手に取る。
往年の氷室冴子、新井素子に代表される集英社コバルト文庫の月刊誌なのだが、こういう類いの本を読むのは久しぶりだ。中学の時に友人に借りて読んだ以来だと思う。それでもぱらぱらと頁を繰るうちに、当時感じていた違和感がまざまざとよみがえってきた。
それはいうなれば「ファンシー」に対する抵抗感だと思う。
世の中には実に多くのファンシー因子がはびこっていて、例えばキャラクターもの(ディズニー含む)、ある種のアニメ、プレステのソフトはもちろん、丸文字、絵文字、片仮名の平仮名表記(みるくせえき)、いにしえ表記(今度会いませう)、声優、魔法、伝説、二重まぶたの整形、ソーイングセット、花柄のトイレットペーパー、ペロペロキャンディー、フルーチェ、水玉(ドット大きめ)模様のあれこれ、と一晩中でも羅列できそうなほどだ。
ファンシーの基本概念はナマものの隠蔽だと思うんだけど、隠すことでその存在を意識するという作用もあって(影によって光の存在を理解する)、つまりコバルト文庫はセックス描写なしにセックスを意識させるわけなんですねえ。屈折してますよねえ。わざとらしく隠蔽しているもんだから、逆に読者の性的な昂りが露呈して生々しいのよねえ。
でもファンシーとヲタクというのは赤ワインとブルーチーズくらい相性抜群なので、各種ファンシーグッズは固定の購買層を得たも同然、ありゃ儲かりまっせ。と思った。
そういえばザ・ファンシー男といって思い浮かぶのは以前勤めていた塾の上司。ミスタードーナツの景品を嬉しそうに集めたり、プーさんの消しゴムを大事そうに使ったり、数学至上主義(数学ができないのは馬鹿と即座に決めつける)で、おまけにチェリーボーイ(女子社員推測)、落とし所がねぎしょって歩くような人だったので私もずいぶん楽しませてもらった。
がたがたぴーぴーうるさい時にはさりげなく下ネタを言うと、しゅるしゅるとしぼんで静かになる。
「この部屋なんか臭くないですか?う〜ん、精液臭いっていうか」
などと言うとうつむき加減で無言で去っていくMr.FANCY・・・
やはりファンシーはナマものに弱いというか下品な女に弱い?
それでも私が辞めるとき涙ぐんだのは彼だけだったし、なんというか徹頭徹尾ファンシーな人で、嫌いじゃなかったなと思い返している。元気かな?

花村萬月『ブルース』を読み終える。
どすの利いたいい作品だった。あとがきで本人も書いていたが、小説の技術が未熟なところがあって視点がばらばらだったり、言葉遣いがこなれていなかったりするところもあったけれど、ほとばしるような情念やどうしようもないやるせなさが満載で、けっこうぐっときた。
読んでて赤面してしまうような男と女の会話も新鮮だった。
「お嬢さんは、もうお家に帰る時間だ。さあ、いい子だから」とか「あたしたち、溶けたよね・・・」とか何とか言って、いい男と美人が愛を囁く。
人間誰しも時と場合によってはそこそこのセリフを口にしているとは思うが、他人の場合はなかなか耳にするチャンスはないし、自分の場合は頭がぼうっとしちゃってるし、そういう意味ではフィクションはいいですね、覗き見の感覚で思いきり笑えるから。読みながら頭の中で(笑)(苦笑)(爆笑)の文字が飛び交って忙しかった。
また花村萬月がやる気まんまんで、これがまた。
そういうことも含めて分厚いのに一気に読める希有な本。

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2005年06月20日

日記: 6/20

睡眠不足で朦朧としながらジムへ行く。
でも昨日は日本が勝ったので気分がいい。パスワークもポジション取りもいいのに結局枠さえもとらえないシュートばかりでがっかりだったが、最後はきっちり決めてくれてよかった。鬼軍曹(ヒデ)も「自分たちのパス回しができた」と言っていた。最近は日本代表がへぼいことをすると軍曹が怒りをあらわにしてこわいので、毎試合別の意味でどきどきする。でも昨日も、選手の中で誰よりもあきらめず、誰よりも冷静で、誰よりも走って動くので、さすが軍曹なのだった。
ジムは激混みだった。オープンしたばかりなので近所のおばさんが大挙していて、かなり賑やかだ。女の人は本当に徒党を組むのが好きだ。体操するのに人と一緒に行ってどうするんだろう。初めての場所にひとりで行くと不安になっておろおろするのが嫌だからあらかじめ受け皿を用意している、ということなのかもしれない。「ひとりはみじめ」と思っているのかもしれない。誰かと一緒に体操したからといって癒えてしまうほど、人生の孤独は甘くないぜと思うんだけど。
私も10代の頃は友人と買い物に行ったり塾に一緒に行ったりしたものだが、その後そういう類いの誘いはことごとく断っていたら、気が付けば女友達の少ないこと。片手でゆうに足りる?
でも今となっては人間つきあいは夕食の時だけで十分、あとはひとりでいたいのが本音ですね・・・
てなことを考えながら、好きな先生のクラスで楽しく一汗流す。
『コールドマウンテン』という絶望的につまらない映画を観る。くるくるぱあによるくるくるぱあのための映画だった。ニコール・キッドマンは実に女優然としているいい女優なんだから、脚本をよく読んでしっかりと仕事を選んでほしいと思った。

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2005年06月18日

日記: 6/18

両親の結婚記念日のプレゼントを買いに行く。ボーナスだか父の日だか、デパートは強制収容所のようで恐ろしかったので大急ぎで選ぶ。
父にはバカラの美しいグラスを、母にはSK-?の顔面筋肉を重力に負けないようにする薬を、全員用にルノートルで苺のショートケーキのホールを買う。
祖母が出歩けなくなり家族で外食はかなわぬ夢となってしまった今、かわりに寿司の出前をとってハレの雰囲気を出す。
退院して以来、祖母はご馳走や好物を目の前にすると、満面の笑顔でひときわ大きい声で「いただきまあす!」と叫ぶようにようなった。小さい子供のそれと似て非なる感じがなんともいい。思わず笑ってしまい、そしてちょっとしんみりする。気持ちが清潔になって、調子のいいことを言うのはもうやめようと思ったりする。
そんなことはどこ吹く風、祖母は今日も「いあただきまあす!」と歓声をあげて、口のまわりにクリームだらけにしてケーキを頬張っていた。
寝床で花村萬月『ブルース』を手に取るもののページを繰る前に眠気が襲ってきて話の内容はまだ知らない。
昼間のぎらぎらのわりに、夜はまだひんやりしている。

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2005年06月17日

日記: 6/17

ポルチーニ茸のリゾットとアスパラガスのビスマルク風などを作って食べる。なかなか美味しくて白ワインがついついすすんでしまった。
きのこのこのこげんきのこ♪なのでポルチーニ茸が大好きだ。あの苦味と臭みと肉々しい触感がたまらない。今までレストランでしか食べたことなかったが、家でも簡単に食べられることがわかった。乾燥ものだとリゾット2回分の量で800円くらいで手に入る。
本来は松茸に並ぶ高級きのこ、なんでも人口栽培できないのが値のはる原因とのことだ。フランス名はセップ茸だが、中でも黒セップという種類がべらぼうに美味しいらしい。肉?みたいとか。「黒人の頭」といううっとりするほどサディスティックな愛称あり。いつかきっと食ってやる・・・
と野望も新たにしたところで、私が初めて買ったLPは『THRILLER』だと言ったら、ミックが『BEAT IT』のジャックナイフで威嚇するアクションとか『BILLIE JEAN』のしゃっくり付き歌真似などをしてくれたので、笑い過ぎて眠れなくなった。一曲目の「ヒ〜ハ〜」とか白く輝くマジック手袋とかが走馬灯のようにめぐって、マイケルはやはり偉大なエンターテイナーだと素直に感じ入った。そりゃあ無罪だよね、と妙に納得した。

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2005年06月16日

日記: 6/16

まだ雨が降っている。今年はれっきとした梅雨のようだ。祖母は窓の外を見るたびに「あら、降っとるんかや」と驚く。今日は8回くらい驚いていた。ものすごい忘却スピード。「スピード違反で逮捕しちゃうぞ!」とゆうこりんぽく言ったら「そら、おおごとじゃ」と慌てたふりをしてくれた。おばあちゃんはノリがよくて好きだ。
そんな彼女が寝る前におかしなことを言った。
「ああ、あと10日ってとこじゃな」
「え、何が?」
「命よ、いのち。もうお墓の準備も整ったけん、そろそろ行かないかん」
とのことなのだが、こういう話ははなから信じるのもあほくさいし、一笑にふしたとしてもどこか釈然としないし、「へ〜」としか言えないものだ。それに言った張本人が明日にはきっと忘れちゃってるんだろうから、これこそご酔狂の本質だと妙に合点がいった。
がんばって起き続けてサッカーを観る。
中田は柳沢を使って何かおもしろいことをしようと始終企んでいるふうで、はっとするような縦パスをいくつか出していた。(あまり受けれてなかったけど)そういうはっとする感じがもっとたくさん観たい。サントスはやっぱりだった。1対1で勝った試しがないし、パスは必ずカットされていた。松田組決定(褒め言葉)。
メキシコは狭いところでも早いパスを繋いでくるし、どこからでもシュートを打ってやるという気迫にみなぎっていた。1点目を決めた人、上手かったなあ。
世界大会は本当に楽しくて、心がうきうきします。
眠気の波が遠くへ行ってしまったので、仕方なく『スエイ日記』を読みながら次の波を待つ。午前4時、無事に乗り、夢の国へどんぶらこ。

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2005年06月15日

日記: 6/15

強い雨足だ。梅雨も本腰だなと外を眺める。ベランダの水やりをパスできたのは嬉しいけれど、湿気で頭がぼんやりしている。
一年ほど前、そういえばと思い付いて祖母に聞いたことがある。
「おばあちゃんてさあ、鼻ほじってるところ見かけないけどほじらないの?」
「あたし、あれ好かんのよ、生まれて一回もほじったことない、あたし鼻くそたまらんの」
と自信満々に言ったので、そんな人もいるのだといたく感心した。
それが、である。ほじりまくりなのである。
入院中から徴候は見られたのだが、最近では一日中ほじくっている。もちろん素手で5本の指を駆使して、あらゆる角度から鼻孔にアプローチしている。目は軽く寄っている。
そんな祖母にもまだ恥じらいがあり、人の見ていないところでと思っているようだが、動きが緩慢なので結果的にはバレバレだ。だからほじり最中に試しに声をかけてみると、いつも声が裏返る。今日も「おはよう」とだしぬけに言うと、右手人さし指を右穴に右手中指を左穴につっこんだ状態(なかなか上級、私も未経験)で「おはよう」とひっくり返った小さな声で挨拶していた。(母に報告したら、かなり息苦しいわよ、と同じポーズを取ったので私も真似したら、あらほんと苦しいわ。よいこのみんなもやってみて)
しばらく話をしているときなどは、最初は押さえているもののそのうち欲望が爆発するのか、さりげなく(本人的には)ほじり始める。
「ああ、毎日退屈なのう、はよ死にゃええのにわりあい死なんかい」などと愚痴を言いながら指は激しく鼻孔をつついているので
「でも、おばあさん、死んだら鼻くそほじれないねえ」
と笑いをかみ殺しながら言うと
「・・・ほ、ほうよのう」と弱々しく答えて指をそっと引き抜き、ばつが悪そうにくしゅくしゅっと顔をこする。私が笑い出すと、祖母もあきらめたように笑い出す。
どうしてそんなに鼻にご執心なのか、あるいは90年のほじりぶんを取り返そうと躍起になっているのか。それにしても「鼻をほる」という行為はどんなにシリアスな状況もトーンダウンさせる威力がある。「御臨終です」という瞬間に祖母が鼻に指をつっこんでいたら、間違いなく笑ってしまうだろうなあ。まあ、笑えばいいんだけど。

『赤い疑惑』を観る。
好物の藤原竜也くんが出てるからなんだけど、『冬のソナタ』ブームに便乗して引っぱり出してきましたね、という感じだった。最近のテレビドラマは登場人物の「オレってイケてるっしょ?」みたいな自意識過剰な話し方がうっとうしいが、冬ソナ系は筋が大仰なぶんそういう鼻につくような嫌らしさはない。
「白血病?そ、それはつまり血液のガンじゃないか!」
と登場人物がかわるがわる叫んでいておもしろかった。知ってるよ。

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2005年06月14日

日記: 6/14

元住吉の関東労災病院に向かう。
日射しがじりじりしているのにサングラスを忘れてしまった。まぶしくて目と頭が痛い。病院は激混みだった。基本的に紹介状なしでは来られない病院なのに、ということはみんなどこかしら何かしらシリアスな問題を抱えているのだろう。
初診受付で待たされ、レントゲンで待たされ、診察待合で待たされ、結局2時間待ったすえの診察は、手術の方法と内容を聞き、日取りを決めて誓約書を書かされて、はいおしまい。ものの5分だった。
先生は快活で男前な男子。手術し慣れている様子だったので、ずいぶん安心した。「痛いですか?」と聞いたら「最初の麻酔のちくっを我慢してもらえれば手術中に痛いと言われたことはないよ、40分で終わるし。でも麻酔がきれたら、あれは痛いね〜かなりテンション下がるね〜うふふ」とのことだった。
誰か私と替わってくれないかなあといつも思うのだけれど、誰も替わってくれないのだった。肉体でも精神でもそうだけど、痛みって本当に孤独だ。受け止めて耐えるしかないところがひどすぎる。だからネタにしてやると前向きに考えたり、マゾヒスティックな快感を感じてみたり、死にたくならないように工夫するのだと思う。
手術は二週間後。
夕食は買ってきたとんかつをみんなで分け合って食べた。ここのところ母が腰痛で台所に立てないし私は料理が下手なので粗食が続いている。美味しいものが食べたくなってきた。満願会席とか。
赤瀬川原平『ゼロ発信』を読む。スエイさんお薦めの本。新聞や雑誌の文章は読んだことがあったが、小説は初めて。まあ小説というよりは日記なんだけど、さすが年上の貫禄でどっしりとしていた。犬と猫の生態観察&分析がおもしろかった。

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2005年06月13日

日記: 6/13

ジムの帰りに銀行に寄って久々に通帳記帳をする。思いもよらぬ振り込みとか信じられない引き出しとかは特に見当たらず、平穏無事な通帳だった。
貯金でもしようかなと少し考える。もし私が結婚してたとえ専業主婦になったとしても、自分だけの貯金は絶対持っておきたいと思う。そうでないと家族へのプレゼントも買えないし、家出の旅費もないし、万が一宗教に入信したくなっても払うお布施代もない。するかしないかは別にして、そういうことが制限されてしまう人生は息苦しいと思う。
だんなさんに稼がせたお金をお小遣いみたいにしてエステとかバッグとかに使っている女の人を見かけるけれど、そんなことしたら嫌々ながらおかず4品作ったり、したくないのにセックスしたりしなきゃいけないみたいでぞっとする。飼われているみたいで嫌な感じだ。男だって必要以上に頭が高くなりそうだ。
などと考えてやはりもっと稼がなくてはと思いを新たにした。
夕方、近所の歯医者へ行く。
「親知らずが痛い」というと、レントゲンを見た先生が溜息をついた。そして「これはね、ウルトラCの親知らずですね。うちでは手に負えないので口腔外科に行ってください」と紹介状を渡された。なんでも歯茎を切開してドリルで歯を割って抜歯して縫合する、中手術で2時間はかかるそうだ。すでに貧血気味の私だった。「どうして?なぜなの?」と疑問符ばかりが溢れ出すが「ビョーキだから」としか答えようがないのがビョーキのすごいところだ。
夜、軽く酔いながら折り込みチラシを眺めていると、朝日新聞大倉山営業所の皆さん男性10名の集合写真が目に止まった。「私たちが皆様のお宅へ確実に配達いたします」ということだったが、かえって知らせない方が購買部数が伸びるのではと懸念するような、微妙な面々。
「絶対結婚しないとダメなのね、しないと殺されるから。はい、この中の誰とする?」
と母に写真を見せるとううむと眉根にしわを寄せて考え始めた。我ながら暇な親子だ。そして選んだ人は、奇しくも私と一緒だった。
「じゃあ、結婚するなら殺された方がましな人ひとり、はい、誰?」
ともう一度聞くと、そおおおねええと頭を掻きむしって指差した人は、またしても私と同じ人だった。「そういえばこの人、よく集金にくるわよ」とのことで、会ったら笑ってしまいそうで少し申し訳ない気がした。
私たち親子の趣味が似ているというべきか、女共通の意見というべきか、興味深いリサーチに満足する。

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2005年06月12日

日記: 6/12

ランチビールについて。
昼食営業の店にはたいていランチビールという魅惑的なメニューがある。
外で働いている場合には、昼休みが短すぎるとか眠気が襲って午後の仕事に差し支えるとか酒臭いと契約がとれないとか、そういった社会的な制約が有効だから飲むことは少ないのかもしれない。
私にしたところでいくら在宅だからといって昼間から缶ビールをぱしゅっとはいかない。それをやり始めると、おそらく私の人生は終わる。ような気がする。一種の踏み絵のようなもので、踏まないことで私という人間がかろうじて保たれている。ような気がする。
問題はランチビールなのだ。
基本的にランチは、前後になにかしらの用事があるときにひとりで食べる。中華にしてもイタリアンにしても、メニューを見ながらビールを飲むか飲まないか悩み始める。もっと正確にいえば店に入る前から悩んでいる。
<飲まない派>
きんきんに冷えたグラスビールを目にすると猛烈に飲みたくなるのですが、それはパブロフの犬なだけであって、心はさほどこもっていないんです、実のところアイスティーでも炭酸水でも構わないのよ、そんな浮気な感じで飲むんなら、あんた、おやめなさいよ
それに果たしてお利口さんに一杯で止めて、日中の街を千鳥足で歩かずにすませられるかしら、ちょっと自信ないじゃござんせん?
<飲む派>
ご託を並べる前に飲んじまったら美味しいぜ?外国ではみんな幸せそうにランチビールならぬランチボトルワインをかっ食らってるわけだし、飲みたいときが飲むときっすよ、ちっこいこと気にするなんてお前さんらしくないぜよ

と、両者拮抗の挙句、というのは嘘でわりとあっさり飲んでしまうのでした。総じて言えば、私はランチビールを必ず飲んでます。ちょっとした罪悪感つきで。背徳の苦味、とまでは言いませんが、いいよねランチビール。

セブンイレブンは例のくじ引きが終了し、今度は缶ビール3本買えば陶器グラス全プレ、という企画を始めた。わりと可愛いグラスで気に入った私は迷わず買って帰ると、運悪く昼食前。
冷え冷えのビールを見た母は「飲んじゃう?」とにやつき、祖母は「こげな天気のええ日にビールぐらい飲まんでどうする」とたきつけ、「ま、そこまで言うなら」と、本日は久々に3人で昼からビールを飲んだ。美味しかったです、でも今日だけです。のつもりだ。
夜は久々に調理する。ラタトゥーユときのこクリームパスタを作った。不味かったらしく、祖母はほとんど残していた・・・
寝る前、そろそろ歯医者に行こうかなと心を決めた。ちょっと理不尽に痛い。

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2005年06月10日

日記: 6/10

午前中も早い時間から雨が降り出した。
梅雨は洗濯が滞って仕方ない。乾燥機がないので、家のあらゆるところにシーツとかバスタオル(おもらしグッズ)がかかっていて、眺めるだけで憂鬱になる。母は腰を痛めてずっと寝ているし、祖母はベッドでころころしているし、なんだかホスピスみたいな家だ。
ここのところ作業の合間をぬって『絶対毎日スエイ日記』という本を読んでいる。厚さ10cmの二段組という膨大な文字数。日記だし一気に読む必要もないので、もそもそ読んでいる。
末井さんは白夜書房の編集長で、美子ちゃんのだんなで、女装が好きで、お母さんが昔、隣の家の若い男とダイナマイト心中をしたところの人だ。美子ちゃんは写真家で、だんなの坪内祐三さん(物書き)と別れて末井さんと一緒になり、その三角関係の模様を『たまもの』という写真集にして発表した。
末井さんの日記は何がどうというわけではないが魅力的だ。すけべえ心がないところがいい。あらゆるものに差別とか偏見がない。そのことを得意がっていないところもいい。日常の奥に彼岸がうっすら透けて見えるような、不思議な味わいがあると思う。
(現在も日記を毎日更新中)
http://www.sundial.co.jp/cgi-bin/byakuya/suei/read.cgi

夕方出かけようとしたら、ミックが足を滑らせてマンションの階段を5段も転げ落ちてしまった。腰を強打した挙句、右腕から血がしたたり落ちている。顔を近付けると、肉がざっくりえぐれていて骨が見えていた。思わず肉片を探したほど大きい傷だった。心臓がばくばくした。ミックも激痛のあまり顔面蒼白になっている。
慌てて近所の病院に行き処置をしてもらう。骨には異常なかったが、数針縫う羽目になった。
ミックが転んで怪我をするなんて、その瞬間までまったく想像もしていなかった。事故は本当に突然起こるものだと身をもって学んだ。防ぎようがあると言えばないこともないが、基本的には無力だと思う。人生には黙って受け入れるしかないことがわりとたくさんある。
渋谷に向かう。今日は三輪さんの送別会。渡米して弁護士資格をバージョンアップするとのことだった。
みんなにこのページを読んでると伝えられて気をよくする。真矢みきに似ていると言われてさらに気をよくするが、ちょっと嘘だなと思った。
うっかり深酒をして、家に着いたら午前3時半。

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2005年06月09日

日記: 6/9

夕方近所の本屋に行って、何買おうかなと物色していたら
16才の制服男子2人組の会話が耳に飛びこんできた。
二人は本棚を一緒に眺めながら、のろのろ横移動している。
「俺さあ、バスケやる前は読書にはまってたんだよねえ」
「どんなの読んでたの?」
「ハリー・ポッターは全部読んだ」
「ああ、あれ、おもしろいよね。一気にダ〜みたいな。他には?」
「あと村上春樹も全部読んだ」
「へ〜、読んだことない。おもしろいの?」
「おもしろいよ、けっこうエロいし」
「え、まじ?エロいの?」
「ノルウェイの森とか世界のなんとかとか。村上龍もかなりエロいよ」
「え、まじ?エロいの?」
「村上春樹より荒々しい感じでさ」
「へ〜、読んでみようかな〜」
そして二人組はさわやかに去っていった・・・
なかなか含蓄のある会話だと感動する。
おねえさんも入れてほしかった、けっこう趣味も合うし。

・バスケと読書は両立しないと言い切る潔さ
本来読書は時間を要する作業なので、忙しい場合はできなくて当然。それなのに、多くの人の「本は読まなくてはいけない、馬鹿になるから」という強迫観念をうまく利用されて、最近は短時間で読める(学んだ気になれる)アホみたいな本ばかり量産されている気がする。本なんて読まなきゃ読まないでいいのに。好みですよそんなの

・おもしろい小説=エロい小説

少年たちのいう「エロい」はおそらく直接的な性描写があるか否かということ。「シゲルはその晩キョウコを抱いた」という事後報告スタイルではなく「シゲルはキョウコの脚を持ち上げ、ゆっくりと彼女の中に入っていった」という実況中継スタイルが求められているのだろう。
本当は全部言わない方がエロいのよ、と教えてあげたかった。

・ベストセラー作家はすごい

ハリー・ポッターと同列に挙げられるのもすごいけど
こんなに幅広い世代から支持されるなんて
というか、そうでないとベストセラー作家にはならないのですねえ

屋久島の稀少焼酎「三岳」が900円で売られていたので慌てて買う。その他にも稀少焼酎が破格の(というか本来の)値段で売られていたが、お一人様一本だったので、週末にまた行こうと思う。
内田春菊『物陰に足拍子』(全4巻)を読む。
凄みのある漫画だった。この人の本は嘘やごまかしがなくていい。孤独な感じや面倒くさい感じがじんじんと伝わって、読了後少しぼうっとしてしまった。

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2005年06月08日

日記: 6/8

朝から祖母の機嫌が悪い。ベッドに寝転んで、柵に脚をのっけて、ふてくされている。
「もうええ加減に死にゃええのに、どうしてはよ連れに来てくれんのお?」そして乱暴に寝返りを打って、口をとがらせる。
「生きとったってな〜んもええこともないし、お風呂も嫌い、あれ、もう来ないでかまんけん!」
いつまでもうるさいので
「おばあさん、死にたいのに死ねないからって駄々こねてるのお、まあかわいらしいこと」
と言ったら、黙って布団に顔を押し付けていた。まあかわいらしいこと。
そんな彼女は最近すごくよく食べるので(死にたいわりには)小ぶたみたいに丸々太ってきた。首の後ろが2段になっている。清原みたい。
サッカー観戦。
友人に食事を誘われたのだが、サッカーがあるのでと断った。「私よりサッカーですか」と悪態をつかれた。・・・そうです。「柔らかそうに見えてものすごいわがまま」というのが彼女のしおり像だそうで、真偽のほどは別にして、今度埋め合わせをしよう。
日本が勝って嬉しかった。先日も柳沢はいいプレーをたくさんしていて、その流れが今日のゴールを生んだと思う。パッサーもいいけどシュートだぜヤナギ、とずっと思っていたのでよかった。それに比べてナカタコは相変わらずだった。
来週からコンフェデが始まる。
ブラジル、メキシコ、ギリシャ・・・よいしょ〜
夜、各種友人と電話。
「やっぱり女の方が浮気するぜ」
「田中の足蹴はわざとでしょ」
「あの人、猛獣使いだよ、正真正銘の」
「ワイン選んでるときは頼りがいあるよね」
「体はあんまり洗わないよ」
などと談笑する。

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2005年06月07日

日記: 6/7

すごい光景を目撃する。
祖母が洗面所で歯を磨いていたので柱のかげからこっそりのぞいたら、彼女が口につっこんでいるのは、父の歯ブラシだった・・・
父は以前よりそのような危険を想定して、自分の歯ブラシに金のこよりを付けてマーキング対策をとっていたが、そんな小細工は祖母には通用しなかったようだ。にやにやしながらそのことを母に報告すると「しっ!言っちゃだめよ!秘密にしておきなさい」とことさら真剣な顔でいさめるのだった。
知らぬが仏、ですね?
松尾スズキ『クワイエットルームにようこそ』という小説を読んで、大笑いする。
まずは表から眺めて、しんどいんだけど裏へまわってじっくりと観察して、死ぬ思いでもう一度表に戻って地平を眺めると、こんなにきわどくて優しい笑いが書けるのだ、といたく感心する。
彼の書くものはそんなふうに(精神的)元手がかかっているから、どんなに笑えてもからっとはいかない。じとっとへばりつく感じがして、そんな生々しさが私は好きだ。(クドカンはドライですものねえ)いくら荒唐無稽に響いても、それはいつだって私やあなたに起こりうる現実なのだと感じさせるところがすごい。迫力があるということですね。
ちなみに精神病院の閉鎖病棟の話です。

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2005年06月06日

日記: 6/6

今晩はスモークを創ろう!ということになり、にわかに盛り上がる。
レシピ本によれば、適量のアールグレイと砂糖を鍋に敷き詰め、その上にとり肉や魚貝類やチーズやゆで卵なんかをのせていぶせば、簡単スモークの出来上がり。とのことで、ここはひとつはりきって買い物をする。
自宅でスモークができるなんて感激だ。それは例えば、C.W.ニコルの料理だと思っていたからだ。
帰宅してうきうきクッキング(並べるだけだけど)、待つこと20分。
わくわくしながら蓋を開けると「?」。
チーズが全部溶け出して原形をとどめていない。紅茶とチーズと砂糖が混ざって奇妙な匂いもする。それでもスモークとはこのようなものかもしれない、と気を取り直して、具材を切り分けることにする。
ビールの栓を抜き、いざ試食。
「・・・・・・」。ま、まずい?やっぱり?意気消沈だった。
敗因を話し合う。砂糖がいけないだとか、緑茶ならよかっただとか、結局推論の域を出なかった。そして、溜息をつきながら間違いだらけのスモークたちをゴミ箱に投入したのだった。
どなたかいい方法を御存じなら教えてください。
部屋には甘ったるいアールグレイ臭がいつまでも付着していて、なんとなく気が滅入り早めに床に就く。読書もなし。アールグレイを嫌いになったらいやだなと思いながら、夢の国へ。

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2005年06月05日

日記: 6/5

模範的な二日酔いだった。
大量にアルコールを摂取すると、このように血圧が高くなり、脈拍が上がり、頭痛と吐き気を催し、倦怠感および自責の念に苛まれます
と白衣を着た小人がしたり顔で説明しているようだった。
我が家では「二日酔いは負け」というコンセンサスがあり、どんなに飲み過ぎても「二日酔い?」と気づかれてはいけないことになっている。
だから今朝も遠のく意識の中で、平然とした顔で朝食を食べて、洗濯機3回まわし、トイレと風呂を磨き、掃除機をかけた。祖母の小水もとった。死ぬかと思った。
水をがぶ飲みして、救心なんたらとかいう謎の漢方薬とウコンを飲んで、昼頃にはなんとか人間らしくなる。
昼食は父がお好み焼きを大量に作る。おばちゃんといとこもやってきてみんなでもりもり食べた。空が明るくて、心地よい風が吹いて、すべてがきらきらしていて、頭痛さえなければ最高の昼下がりだった。ビールを飲みたいくらいだ。(懲りてない)
夜はチンゲンサイと豚肉のオイスターソース炒め、生桜海老、ほうれん草などをゆっくりと頂く。(缶ビール一本飲んだダメ人間・・・)
川上弘美『ニシノユキヒコの恋と冒険』という本を読む。
この著者の本はまだ読み慣れていないので、いつも思わぬ方に話が展開するのでおもしろい。村上春樹くらい読んでいると、著者の癖みたいなのがわかるので新鮮さは少ないが愛着はたっぷりだ。何に関しても、愛情を長続きさせるには新鮮さと愛着のバランスが大事だと思う。男女の仲もいわずもがな。
眠れるかな、と私が不安げに呟くと「体と脳の力をすうっと抜いて無の状態になればすぐ眠れるよ」とミックが言うので、いぶかりながらも実践した。おそらくだが、のび太なみのスピードで眠りに落ちる。
午後11時11分のこと。

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2005年06月04日

日記: 6/4

今日は祖母の快気祝と誕生日祝の会。我が家に親戚が11人寄るので、朝から目まぐるしく働く。
午前中に渋谷で焼鳥と焼酎を買い、日吉で太巻きを買い、家に戻って家中の大掃除、グラスと皿のセッティング、終えたところに客人たちが到着して、それから8時間飲み続けたのだった。
食後にすべての皿洗いを一手に引き受けて、その後赤ワインの栓を抜き、チーズに舌鼓をうって、午後11時に倒れるように寝た
と伝え聞いている。またやってしまったようだ。

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2005年06月03日

日記: 6/3

午後、猛然と各種主婦業をこなす。うっかり紙袋の整理に手を出してしまい、泥沼にはまり、待ち合わせに遅れてしまった。
自由が丘でタイ料理を食べる。唐辛子を練り込んだソーセージがあほみたいに辛かった。味覚ではなく痛覚にうったえる料理だとしみじみ思った。合わせ飲むシンハービールが美味しかった。
久しぶりにカラオケに行く。生演奏というシステムがあることを初めて知る。本物のジミヘンギターに合わせて「フォクスィーレイデェ」と歌えちゃうわけですね。通常のカラオケ演奏は音がしょぼくてがっかりしていたので朗報です。シンディーローパーや森進一などを歌う。
深夜はサッカー観戦。
中田の勇姿を観たのは何ヶ月ぶりか。心が踊った。
試合終了直後に、2分しかプレーしてない玉田にもの申していたのがすごくおもしろかった。やっぱり私は中田が好きだ。
それはそうと最近、三都主?と思って仕方ない。前より下手くそになっている気がする。精度の高いクロスをあげているのも見たことないし、1対1で抜いているのも見たことない。今日のシュミュレーションも下手くそな演技だった。それでもガッツがあるのはわかる。そのあたりが笑えて仕方ない。松田と同じ匂いがするのだった。トウーリオも少し松田臭ですね。
いずれにせよ勝ってよかった。
午前4時、就寝。

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2005年06月02日

日記: 6/2

朝7時半に祖母が噴火した。
うんこは臭い。でもそこがいいところだ。結局のところ、また嗅ぎたいのだと思う。うんざりしながら、こみ上げそうになりながら、鼻のはじっこであの匂いを探している。そして嗅ぎ当てると、ほっとしている自分に気づく。あんなに臭いのに、こんなに愛おしい匂いなんて、ちょっとほかにない。
そんなふうに感動できるので、私は下の世話は全然嫌じゃない。むしろしてあげたいくらいだ。それなのに、される方の人はか細く震える声で「すんません」とつぶやく。決して「拭き方が甘い」なんて怒ったりしない。
私の感動と祖母の絶望の間には、決して埋まることのない溝が横たわっている。でもそれは埋まってしまってはつまらない溝だと思う。それではSMにならないし、愛情もなくなって、下の世話が味気なくなってしまう。せいぜい感動して、せいぜい絶望して。
うんこは最高です。
横浜のデパートであれこれ買い物。
週末の来客に備えて、家中のグラスとカップと湯のみを激落ちくんで磨く。数回よだれを垂らしながら、夢中で磨いた。
山田詠美『風味絶佳』を読了。すごく満足した。
本人も巻末に書いていたが、描写欲という動物的でほとばしるような欲求と素晴らしい技術が合わさると、こんなに迫力のあるものが書けるんだと思った。最近、当たり本が多くて嬉しい。
骨折した小野くんのことを考えながら、12時半就寝。

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2005年06月01日

日記: 6/1

「あたし、ひゃくさい?」
という祖母の大声で目が覚めた。起き抜けに笑わせるのはやめてほしい。だいたいサバを読み過ぎだ。まだ90です。
「こなに脚がひょろひょろもたついて、100年くらい生きとろぞいとおもたけんど、まだ90かや、どうならどうなら」
とつぶやきながら廊下をよろよろ歩いていく。
「どうなら」と合わせて「あれどしたんぞや」というのも祖母の口癖である。(弱形は、あれどしたんかしらん)
使用例としては
・(立とうと思うのに立てない時)「あや、立てんがや、あれどしたんぞや」
・(特大のみかんなどを見たとき)「ありゃあ、こげなに大きくて、あれどしたんぞや」
・(テレビで巨漢の人を見たとき)「こげに太うてどうもこうもならんわい、あれどしたんかしらん」
今日も天井を見上げて溜息をつく。
「ああ、はよ死にゃええものを、わりかたむつかしいのよ、あれどしたんかしらん、ひと思いにぺしゃ〜とつぶれてしもたらええのにのう」
そうねえ、と適当に聞き流す私。
その数分後から、連続して地震がおきる。地鳴りがするような、気味の悪い揺れ方をする。
祖母の様子を見に行くと、横たわったまま座ぶとんを抱えて顔半分を隠している。どうやら防空頭巾のつもりらしい。
「おばあさん、地震だね、こわいね」
「ほうよほうよ、おそろしいかい。どうすることもできんわい。ゆうていくとこがないけんのう」
「おばあさんも死にたいゆうても、地震でへしゃげるのは嫌やろ?」
「嫌じゃ(きっぱり)」
「いざとなったら、おぶって逃げてあげるからね」
「ほうよ、逃げる時はみんな一緒に逃げようぞな、よろしくね」
と念押しされたのだった。
そのあともすごくて、寝る前にパジャマに着替えてもらおうと思ったら、着ないと言い張る。
「何かあったら逃げないかんけん、今日は寝ずに起きとるけん。それに寝巻きで外出たらおかしかろ?」
生きる気まんまん・・・
もちろん10分後にはすやすや寝ていた。長生きする人はやはりひと味違うものだと感心した。

『ルルオンザブリッジ』を観る。ポール・オースター監督脚本。
『スモーク』のときにも思ったけれど、彼は小説家だからさすがセリフの言葉選びが上手い。脚本の完成度も高い。
それでも、そこがいまいちなんじゃないかと思う。映像の出る幕がないというか。そう考えると、ウディ・アレンは偉い。すべて自分でこなしながら最終的には、監督よりも俳優よりも脚本よりも作品が素晴らしいように仕上げるのだから。
しかし何を隠そう、私はハーヴェイ・カイテルが大好きなので、映画の出来はどっちでもいい。眺めるだけで血が熱くなる。顔も体も大好きだ。
脚が短くてお尻や太ももや胸が太いのがいい。(体脂肪低め)
私の男子の趣味もずいぶんエロくなったものだ。長身で足長の男前なんてまったく興味なくなったものな・・・(高収入にも高学歴にも)
雨のそぼ降る中、横浜の港の方で花火をやっているらしい。どおん、どおん、どおん、と安田大サーカスみたいな音だけ聞こえるが、肝心の中身が見えない。となると単なる騒音ですね。
今夜は1時就寝。
地震に備えて、落下物を避けていつもと逆向きに寝る。

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