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2005年06月15日

日記: 6/15

強い雨足だ。梅雨も本腰だなと外を眺める。ベランダの水やりをパスできたのは嬉しいけれど、湿気で頭がぼんやりしている。
一年ほど前、そういえばと思い付いて祖母に聞いたことがある。
「おばあちゃんてさあ、鼻ほじってるところ見かけないけどほじらないの?」
「あたし、あれ好かんのよ、生まれて一回もほじったことない、あたし鼻くそたまらんの」
と自信満々に言ったので、そんな人もいるのだといたく感心した。
それが、である。ほじりまくりなのである。
入院中から徴候は見られたのだが、最近では一日中ほじくっている。もちろん素手で5本の指を駆使して、あらゆる角度から鼻孔にアプローチしている。目は軽く寄っている。
そんな祖母にもまだ恥じらいがあり、人の見ていないところでと思っているようだが、動きが緩慢なので結果的にはバレバレだ。だからほじり最中に試しに声をかけてみると、いつも声が裏返る。今日も「おはよう」とだしぬけに言うと、右手人さし指を右穴に右手中指を左穴につっこんだ状態(なかなか上級、私も未経験)で「おはよう」とひっくり返った小さな声で挨拶していた。(母に報告したら、かなり息苦しいわよ、と同じポーズを取ったので私も真似したら、あらほんと苦しいわ。よいこのみんなもやってみて)
しばらく話をしているときなどは、最初は押さえているもののそのうち欲望が爆発するのか、さりげなく(本人的には)ほじり始める。
「ああ、毎日退屈なのう、はよ死にゃええのにわりあい死なんかい」などと愚痴を言いながら指は激しく鼻孔をつついているので
「でも、おばあさん、死んだら鼻くそほじれないねえ」
と笑いをかみ殺しながら言うと
「・・・ほ、ほうよのう」と弱々しく答えて指をそっと引き抜き、ばつが悪そうにくしゅくしゅっと顔をこする。私が笑い出すと、祖母もあきらめたように笑い出す。
どうしてそんなに鼻にご執心なのか、あるいは90年のほじりぶんを取り返そうと躍起になっているのか。それにしても「鼻をほる」という行為はどんなにシリアスな状況もトーンダウンさせる威力がある。「御臨終です」という瞬間に祖母が鼻に指をつっこんでいたら、間違いなく笑ってしまうだろうなあ。まあ、笑えばいいんだけど。

『赤い疑惑』を観る。
好物の藤原竜也くんが出てるからなんだけど、『冬のソナタ』ブームに便乗して引っぱり出してきましたね、という感じだった。最近のテレビドラマは登場人物の「オレってイケてるっしょ?」みたいな自意識過剰な話し方がうっとうしいが、冬ソナ系は筋が大仰なぶんそういう鼻につくような嫌らしさはない。
「白血病?そ、それはつまり血液のガンじゃないか!」
と登場人物がかわるがわる叫んでいておもしろかった。知ってるよ。

投稿者 shiori : 14:14

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