« 2005年07月 | ホーム | 2005年09月 »

2005年08月27日

日記: 8/27

自宅マンションの前に救急車が止まっていたので、もしや?と思ったら、やはりそうであった。慌てて家に戻ると、ぐったりした祖母がストレッチャーで運ばれている。母と一緒に救急車に飛び乗った。
なんでも便器に座ったまま意識を失って冷たくなっていたらしい。嘔吐もしたらしく洋服に赤身を帯びた大きめの物体が飛び散っている。お昼何食べたの?と聞いたら「キムチ炒飯大盛り」とのこと、老人の場合、食欲に咀嚼スピードが追いつかないから食品が丸まま胃に残っているのだった。
もはやこれまでか、と最初は緊迫した雰囲気だったが、祖母は救急車の中で意識を取り戻して事なきを得た。救急隊員の話によれば、排便中に意識を失う老人は多いそうだ。うんちのあった場所にど〜っと血が流れ込んで、頭が貧血になるらしい。
「嘔吐している場合は気道確保が最優先です、心臓が止まった場合には心臓マッサージ、人工呼吸をしてください」と言われたが、できる自信は全くない。そんな不安な表情を察して救急隊員は「とにかく119番です、こちらが電話できちんと指示を出しますから」と付け加えた。
おそらく何でもないとは思うが一応調べようということで、横浜労災病院へ。ここの救急待合は何度来たことだろうか。
3時間後検査が終わり、祖母は何の異常もなく家に帰れることになった。驚くべきことに4月に脳出血した部分も血痕が消えたそうだ。祖母はなぜここにいるのかわからない様子なので「うんちしながら失神したの」と教えてあげると絶句していた。何も覚えていないそうで幸せなことである。

あのフォルムで死んだらお葬式どうしようと焦った、と母が言ったので死に顔について話し合った。
「この前くも膜下出血で亡くなった人のお葬式に行ったら、発見が遅かったみたいでこ〜んな顔しててえぐかった」
と母がムンクの叫びのような顔をする。そりゃまずいね、と相槌を打ったら「そう、こ〜んな顔」と何度も繰り返すので笑いが止まらなくなった。
漫画家の蛭子能収さんは人の死に顔を見たら百発百中笑ってしまう癖があり、葬式は出入禁止になってしまったという話を聞いたが、気持ちはちょっとわかる。悲惨と笑いは紙一重なのだ。
父もそんなに親しくない人の死に顔は絶対に見ないし、自分の死に顔も会社の人なんかに見られたくないので密葬を頼む、渥美清みたいに、と遺言めいたことを言った。渥美清てのが意味不明だが、とにかくうんちをしながら昇天するのはまずいので、祖母の見張りを強化することで合意した。

フリーダム同期、美帆さんの結婚式二次会。
ボーリングが好きとかでうちの近所のボーリング場によく来ていると聞いた。何号サイズの玉を投げているのか気になったが、美帆も忙しそうで聞きそびれてしまった。引き出物にボーリングのピンの形をした500円玉貯金箱を頂いたが、どんなに機嫌がよくても貯金はしないので別の用途を思案中。米粒を入れてシェイカーとか。
最後に美帆がだんなさんをお姫さま抱っこしたのがよかった。ボーリング玉のようにまん丸な赤子をうんとたくさん産んでください、末永くお幸せに。

投稿者 shiori : 11:55 | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年08月25日

日記: 8/25

恵比寿ガーデンプレイス散策。
かなり好きな場所だ。広さもちょうどいいし、のんびりした感じがよい。かわいらしい女子が多いのもよい。三越があるのもさらによい。
初めて麦酒記念館に入った。ビールの歴史だとか製造過程だとかを見せてくれるのだが、そういうのはどうでもよくて、ファンタスティックなのはテイスティングラウンジ。なんとハーフパイントのエビスビール及びギネスが200円で飲めるのだ。1000円でべろべろである。平日の昼間にもかかわらず多くの人が旨そうにグラスを傾けている。かなり魅力的だったが、今日は肝臓の調子もなんなので泣く泣く断念、今度体調を整えて来ようと思う。
入場無料、午後5時までに入れば飲めます。
おみやげにフロスティグラスを買った。冷たいビールを注ぐと色付きエビスマークが浮き上がる代物。こどもだましのようなものがわりと好きである。

何かの拍子にどどど〜んとお金が入った時に行きたいレストランのひとつが『ジョエル・ロブション』である。

http://www.robuchon.jp/info_joelrobuchon_m_d.html

というブルジョワ仕様なのでまず間違いなく現状では不可能なのだが、では何かの拍子とはどんな拍子なのかといえば宝くじ競馬等のギャンブル、あるいは創作物記録的大ヒットによる印税、あるいは玉の輿、あるいは遺産。
一番可能性があるのはもちろん祖母の遺産、うんこ片付け賃としてフルコースディナーくらいはご馳走してくれよと思うのは基本的人権、なのだが遺産の使い道を生前より具体的に考える「遺産待ち」は少々えげつなくもあり気がひけます、それにたとえ小金が手に入ったとして一回の食事に5万払える腹があるのかといえば、ない。缶ビール200本の方がよいと感じる感性ではジョエル・ロブションの料理にはありつけないのだ。
と店の前でカルマをため込んだあと、併設のパン屋でバゲットを買うことでカタルシスを得た。
帰宅後そのバゲットを貪りながら(ものすごく美味しかった)『らくだの涙』というドキュメンタリー映画を観る。とてもよかった。なんでもかんでもわかったような気になってはいけないと自分を戒める気分になった。

投稿者 shiori : 12:00 | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年08月24日

日記: 8/24

吾妻ひでお『失踪日記』を読む。
失踪して路上生活を送ったりアル中になって施設に入ったりなかなか大変なのだけれど、それが荒唐無稽なわけでもなく奇妙なまでに淡々としているので、読んでいてそら恐ろしくなった。ほんのささいなきっかけで歯車は狂ってしまうのだ。それでも吾妻さんの場合ぎりぎりのところでずぶとくてあつかましいので爽快感があってよい。すべて実話だそうだがその語り口が孤高なまでにニュートラル、つまり倫理観や感情論に流されずに書いている。妻や子供もありながら度重なる失踪にアル中、とくればものを思わないはずがないのに、そういうウェットな部分はきちんと取り除くところがすごい。やはりプロの漫画家なのだなあ。

渋谷のDUO MUSIC EXCHANGEにてライブ。
ジャミロクワイの人が関わっているようで壁には型抜きのマーク(角のついた)がたくさん貼ってあった。本人がマークを入れたいと言ったのか、入れさせてくれと店が頼んだのか、いずれにしても必要ないです。
今日はミックとイアン(かなり仮名)が観にきてくれて、航志くんはヴィヴラートに逃げずに勝負するところが偉い、コーラスも上手だったねと誉めてくれた。テンションコードのハーモニーとか隣接和音なんかを歌っているので連れの女子とは運命共同体、顔を見合わせて喜び合った。
ミックの話によるとライブ中眠りこけていたらしいのだが、そんなことは棚に上げていっちょこまえに評論をするイアン。それこそ彼の真骨頂、読んだことがないのに大江健三郎について激論を戦わせたという逸話の持ち主なのだ。
打ち上げは台湾料理屋、ミックとイアンも一緒に紹興酒を頂く。
帰りがけにマイケルさんとお別れのハグをしたら、息子(10)が「いけないよ、パパ」という最高にキュートな表情でマイケルさんのシャツの裾を引っ張ったので一同爆笑だった。次回のライブまでまたしばしのお別れなので、ちょびっと淋しい。
イアンは家人が留守なので遊びにおいでに誘ってくれたので、ミックと二人でお邪魔することにする。気のおけない三人でギネスを飲みながらあれこれ会話。スライ&ザファミリースートンを久々に聴いた。

投稿者 shiori : 12:02 | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年08月22日

日記: 8/22

大阪は江坂でライブにつきお昼時にのぞみ移動。
お弁当を覗きあったり柿の葉寿司と焼き鯖寿司を交換したり、連れの女子(すっとぼけた美人ちゃん)とこそこそ話をしているうちに新大阪。3時間強かかっていた時代が嘘のようだ。しかも私は新横浜から車で5分のところに住んでいるので、玄関でスイッチを押したオペラ『魔笛』が大団円を迎える前に通天閣を仰ぐことになる。別に構やしないしむしろ時間の短縮は喜ばしいと頭では考えるのだが感覚がついていかない。のぞみが誕生してかれこれ30回くらいは乗っているけれど、いまだに「もう着いたの?」と驚いている。感覚のバージョンアップはなかなかむつかしいのだった。
今回のライブはカバー、オリジナル合わせて20曲、二時間のワンマンショーだ。16才でそんな重責をこなす航志くんは本当に感心だ。歌も聴きごたえがあるし、MCもおもしろい。
バンドは年上のベテランばかりなので、自分をアピールするのに忙しい若者とは違い「譲る」ことができる。譲っても自己アピールできる自信があるし、航志くんの才能をひがみのかけらもなくリスペクトする余裕がある。その一方で、決して彼を特別視はせずに一人のミュージシャンとして対等に扱う。その腹具合がうまく均衡を保っているのでバンドの雰囲気も和やかだ。
彼に関わってかれこれ3年が経つけれど、今までで一番良い状態。今後彼が確固とした自我を持つにつれてバンドが高齢化するにつれてどうなっていくのかはわからないが、私も乗りかけた船なので出来ることはしようと思っている。
ライブはそこそこ上手くいった。着席型だし幅広い年齢層のお客さんなのでノリはとことん悪いが、かといって楽しんでないわけではない(はず)。そういうのにもかれこれ慣れたので、仏頂面で微動だにしない客の前でも満面の笑みでノリノリで歌えるようになった。(プロ意識、あるいは加齢現象)
打ち上げはお好み焼き屋。
大阪の食文化を誉め始めたらきりがないのだが、とにかく安くて美味しい。イカ下足やくらげなんかをつまみにビールを飲んでげらげら笑った。焼酎のあとに締めのお好み焼き、定番ソースに明太子味にねぎ醤油味。ふふふ。
藤井さんとキョンさんは私に勝るとも劣らぬ飲み助なので安心して飲めて嬉しい。さすがに一人だけおかわりする勇気はないのです・・・
二次会午前3時まで。

投稿者 shiori : 12:04 | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年08月20日

日記: 8/20

きちんとしっかり二日酔い。
歌を歌うのに酒臭いのもなんなので朝から水をがぶ飲みする。空は真っ青、太陽はぎらぎら、塩をかけられたなめくじのように溶けてしまいそうで、スタジオに行く道すがら浸透圧のことで頭がいっぱいだった。
二日酔いの時というのは神経が過敏なのに受け取った情報を処理する思考能力が落ちているので、同じことを何度も何度も埒の開かぬまま考え続けることになる。ずっと困っている状態といおうか。
というようなことは内緒にして笑顔でさわやかにリハをこなす。このバンドではいつもダニー・ハザウェイのカバーを数曲やるのだが、今回はあの『What's goin' on』も演奏する。ダニーのアレンジも相当いかしているし、そもそもめちゃんこいい曲なのでイントロを聴くだけで胸が躍る。私たちの出来がどうかというのはおいておいて本物はソートーいいです、しびれます、参考音源は以下。

『DONNY HATHAWAY LIVE』
『THESE SONGS FOR YOU,LIVE!』

それはそうとここのところ右二の腕が筋肉痛で「ん?」と思っていたのだが、今日その原因が判明した。タンバリンなのだった。
にわかには信じがたいのだが、子供なんかが振り回すあれをちょこっと揺すっただけで固くこわばる二の腕。赤子を産んだところで抱いてやれるのだろうか。最近さぼっていた筋トレを再開させようと誓った。
夜はミックと言い争いになって感じが悪くなる。疲れていたし、修復するのも面倒くさくてそのままにして寝てしまった。そういうズルをしているとあとでもっと面倒くさいことになるし、修復にも無駄に時間がかかるのは知っているのだが。目覚めたら色々と解決しているといいなとたわけたことを思いつつ、私は10時間くらいぐっすりと眠った。
状況が解決したかどうかはまた別のお話。

投稿者 shiori : 12:05 | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年08月19日

日記: 8/19

スタジオやライブの仕事はギャラの他に食事を食べさせてもらえるという特典がある。3時のおやつから打ち上げのビールまで至れり尽せり、音楽以外のことはこちらでやっとくけんという気遣いもあり、安いギャラを補う現物支給の向きもあり、いずれにしても有り難い話である。
御飯時になるとスタジオのでっちさんの持って来る分厚い出前ファイルを検証して、今日は『鉄人』にしましょうとかなんとか、皆口々に「オレ、無花果」とか「木蓮にしようと思ったけど百合にする」とか「通草は飽きたので花水木」とか、私は水芭蕉という名のついた鶏の唐揚げみぞれかけ弁当を頂きました。
もちろん美味しい、それなりに美味しい、しかし弁当文化に慣れ親しんでいない私にはいささか量が多く油も多く、かといってあからさまに残すのも忍びなく、食後は腹がもっちりして気分が淀んでしまうのだった。
今回はリハの時間が少ないので今日も10時半くらいまで練習は続き、息を切らせて駆けつけた飲み会は間もなく終わろうとしていた。
aー1+7x=16=懐かしい面々を含んだフリーダム定例会
だったので全く素面の私は二次会へ行きましょうと声高に叫び、9人で居酒屋午前3時まで江原さんの話など。
以前うけたこともあり自信のあった物真似がうまくできず口惜しい思いをした。ふとした拍子にきっかけを失ってリアル感が失われてしまった。やればやるほど下手になるのはなんでだろ〜愛はあるのに・・・ボビーオロゴン。
皆様、またゆっくり飲みましょう。

投稿者 shiori : 12:06 | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年08月16日

日記: 8/16

また地震なのだった。おまけに土砂降りだった。
遅刻気味なので慌てておしろいを塗りながら、泥のはねない洋服はどれかと考えていたらぐらぐらぐらと揺れ出した。とうとうか?と揺れながら眉をひそめたが、そうではなかったようだ。
いつも思うのだけれど、地震の恐さは予測不能なところにある。いつだって次の瞬間に起こりうるというわけだ。今こうやって書いている、次の瞬間に何が起こっても不思議はない。
そういうことを突き詰めて考えると具合が悪くなってしまうので、暗澹たる深淵にはささっと蓋をしてビールを飲んだり歌を歌ったり男の人に甘えたりして、どうにか正気を保って暮らしている。そういうのが悲観的なのかどうか知らないけれど、人生についてまわる暗闇と共生するために編み出した、私なりの世界観だ。
スタジオに行っても地震の話題で持ちきりだった。排便中だったという人がいて、やはり地震より排便優先だったという結論が興味深かった。
『パパは出張中』というユーゴスラビアの内線を描いた映画で、空襲をものともせず事に及ぶ男女の姿が印象的だったのだが、肉体的欲求>災害なのかもしれない。事に及んでいる、しかも大団円を迎えている最中に地震が起きたらどうするだろうか。とりあえず地震は後回しになるだろうか。揺れがスパイスになってさらに盛り上がるのだろうか。知りたいけれど、確かめる機会のないことを願いたい。

今通っているスタジオは東京湾臨海地区の倉庫を利用して建てられたのでとにかく広い。スタジオ一部屋がサークルサウンズ全面積×3の広さ、屋内のロビーなんか体育館みたいだ。そこには演奏の合間にどうぞといわんばかりにバスケットゴールとボール、サッカーボールとビリヤード台が置いてあり、まあちょっとやってみるかとなる。今日はバスケをした。久々にボールに触ってついついハッスルしてしまい、その後の練習は息も絶え絶えでますます使えない私だった。

投稿者 shiori : 12:07 | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年08月13日

日記: 8/13

長期的現場労働の初日。
ここのところ歌の練習をさぼっていたので、低音のファルセットが震えたり転調した一発目の音がうまくとれなかったり、散々な出来で大いに反省する。コーラスの場合メインボーカルと違って突出した独自性は要らないかわりにシビアな音程と微妙な強弱を求められる。しかも今回はAORもどきの曲(山下達郎とかボズ・スキャッグス風というか)が多いので吠えてはいけないし、3人でハモるので協調性が大切だし、なかなか神経を使うのだった。しかしチームとしては気心が知れているので皆に会えて話せて嬉しい。
ボズといえば『LOWDOWN』という曲が一番好きだ。サビよりも間奏が盛り上がる、というか間奏がサビ?という変な曲なのだけど、アメリカの西海岸でノースリーブにジントニックという感じでなかなかいい。ここを訪れる人に熱心なAORファンがどれほどいるか知らないが、機会があれば聴いてみてください。

電車で向かいに座った男性がショートパンツをはいていたのだけど、ふと気づくと丸見えなのだった。そういう人なのかと思ったが、新聞を広げているので顔は見えないし、見えたところで判別できるかどうかは不明なのだが、とにかく丸見えなのだった。暑いので冷やしているのだろうか、そういえばムツゴロウさんも「冷やした方がいいですね、犬も冷やしてます」と言っていたし、しかし何も電車の中で冷やすことはないだろうに、と思っていたらおもむろに彼が10時10分の角度にぐぐっと足を広げて自己主張をしたので、ああやはりそういう人だったと納得した。
実はこういう出来事は二回目で、前回父に報告した際に「まさにチン列・・・」とどうしようもないギャグを言ったのを思い出してくすくす笑いの止まらない私だった。

投稿者 shiori : 12:09 | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年08月12日

日記: 8/12

世界のビールが置いてある店へ。
薄暗い店内には所狭しとビア樽とグラスが並べられ、ハイネケンなんかの電飾が光り小さい音でブルースのかかる類い、アイリッシュパブのようなざっくり感を真似しようとしているんだろうが、なんというか薄汚い仕上がりだよなあ、でもひどく喉が乾いていたので気にせずに入店した。
1、ステラ・アルトワ(ベルギー)
2、ヒューガルデン ホワイト(ベルギー)
3、バスペールエール(イングランド)
昨今人気のギネスに代表される黒ビールはちょっとばかり苦すぎて残念ながら好みに合わず、オーソドクス→白ビール→黒寄り、を選んだ。
普段はキリンラガーかサッポロ黒ラベルを愛飲しているが、日本のビールは香りが貧弱な代わりに炭酸がきつく喉越しもよいので一口目が気絶するほど美味しい。しかしそれ以降は当初の感動も薄れ、二杯飲むとそろそろ違う酒を飲むかと思い始める。
一方、ベルギービールは香りが豊かでコクがあるが炭酸は弱く後味がかなり尾を引く。だから一口目はさほど感動しないし、ものによっては眉をひそめたりもするが、飲むうちにじわじわと美味しさが浸透してくる。それにくわえてミックスナッツなんかがあれば食べ物要らずな飲み物だ。スムージーやすまし汁みたいに食べ物と飲み物を兼ねた側面があるのだと思う。焼肉といえばビールだけれど、ベルギービールはちょっといただけないですね。
一口にビールといっても全く別の飲み物、ただ国産であれ欧州産であれ、あまり食べずにじゃんじゃん流し込むと古今東西最強の二日酔いを招くので(経験済み)今日は賢くも3杯でお開きにした。

実は出かけに気に入っていたパスケースを紛失したことに気づき、ど〜んと落ち込んでいた。部屋と鞄をひっく返して探しても見つからない。この地球上には必ずあるはずなのに、その場所がわからない。どうして私の持ち物ははらはらと切なく消えていくのだろう。
赤い皮のパスケース(一万円もしたイタリー製)の中には、パスネット3000円分、suica3000円分、現金3000円、数枚の名刺(もちろん他人の)、気付け薬と思い出少々。もし見かけたら下記まで連絡ください、謝礼ははずみます。
と電柱ごとに貼紙をしたいほど口惜しかった。
無性に腹が立ってパスネット1000円を全種類(5)を衝動買いしたが(意味不明)おさまらず、ビール3杯でようやく無方向な怒りも鎮火したのだった。形あるものはなくなりますねえと鷹揚な気分になり、心穏やかに床につくことができた。ビール万歳。

投稿者 shiori : 12:10 | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年08月06日

日記: 8/6

ここのところ祖母と二人きりで夜遊びできず退屈なので、ミックが遊びに来てくれて助かっている。祖母は他人の顔をうまく記憶できないうえにあまりよく知らないオスに対しての免疫力が著しく低下しているので、ミックの顔を見る度に見知らぬ動物に出会ったような顔をしておもしろい。
昨日も会っただろうに、豆鉄砲をくらった鳩のように驚き混乱する。
「やっぱり忘れちゃいましたね」とミックは苦笑いするし、「あは、あは、あは」と祖母は照れ笑いをする。ど〜んとおちんちんでも見せて印象づけてみたらと薦めるのだけれど、それはできないそうだ。残念!
今日は三人で焼鳥などを食べながら、祖母が進駐軍に卵と柿を差し出した話などを聞いた。この季節、あの年格好の老人は戦争づきますね。

投稿者 shiori : 12:11 | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年08月05日

日記: 8/5

祖母は広島に原爆が落ちるのを見ていたそうだ。
ぶ〜んぶ〜んとうなる音がアメリカと日本の飛行機では違うとかで、今度はどこに爆弾を落とすんぞやと震えながら見上げていると、しばらくして見たことのないような閃光がぴかあああっと光ったらしい。それがピカドンじゃったんよ、ということだ。「こっちはな、いざという時のために竹槍でアメさんを突く練習をしよったんよ、ははは、あほくさ」と笑う祖母であった。
アメリカの高校生なんかが生意気に「だって原爆を落としたから戦争を終わらすことができたんじゃない」などと言うのを聞くと私なんかはむかっとするんだけど、祖母は「ほうよほうよ、落ちたけん終わったんよ、落ちなんだらあれはまだまだ続いとった、もっとおそろしいことになっとったぞな」と言っていた。
祖母の兄は船乗りで南方の海で爆撃されて死んだのだが、そのお骨を取りに行く祖母の母と弟を乗せた船がこれまた爆撃されて死んでしまった。ひどい話である。広島の人は気の毒なけんど終わってよかったかい、と目を細めていた。それでも人生は棺桶に足を入れるまでわからないもので、あの時の不幸を取り返すくらいいいことがあったので、結局自分の人生は幸せだったと思っているようだ。ワンダフル!

それにしても来る日も来る日も暑くてどうしましょう。
座っていれば太ももの裏がじっとりするし、鼻の下にはまるっこい汗のつぶが始終くっついているし、腕や足の折り目は半永久的に水をたたえている。窓から見える木々や建物はぎらぎらした光を浴びて、輪郭がいやにくっきりしている。矯正直後の眼鏡をかけているみたい。
要は夏なんですね。2?のお茶ペットボトル、缶ビール500ml、ワイン0.5本、熱いお茶と紅茶を数杯ずつ、飲むヨーグルト少々、というのが一日の水分摂取量で、さすがにお腹が少々ゆるいでございます。
久しぶりに体重計に乗ったら2kgほど減少していた。夏はがんばって食べないとどんどん痩せて、顔ばかり大きくなって地球外生物のようになってしまうので、本日は牛タンとかねっとりかびかびチーズなどを勢を出して食べた。
はたちを越えたら本当に体質が変わってしまった。昔は息を吸うだけで太っていたのにな。おっぱいだってもう少し大きかったのに・・・口惜しい夏です。

投稿者 shiori : 12:13 | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年08月03日

日記: 8/3

3年前に買ったデジカメCANONのIXYはたいした仕事もしないうちに、チューリッヒで盗賊に連れ去られてしまった。悲しいけれどもう二度と私の元には帰って来ないと思う。でも気の利いたカード会社が是非弁償させていただきたいというので、買い値よりも少し多めに申告すると「へい、ただいま」といって言い値の額をすぐに送金してくれた。ダイナースカードはいいですね。
そのお金を握りしめ新しいデジカメを買いに行ったのは数日前の出来事なのだが、いかんせん機械にはまるで興味がないし、よって情報もないので、ずらっと並んだカメラたちを眺めてぼう然と立ち尽くした。何を買っていいかわからない。ぶっちゃけ、写ればどれでもいいのである。
ならば安いのを買うか、と手にとると、なるほど安いのはへんちくりんでちっとも欲しくない感じだった。外見もどてっとしていてむやみに重くて、ボタンをちまちまごちゃごちゃしている。などとケチをつけるうちにどんどん欲が出て来て、外見のかっこいいものに心が動いていく。カメラも人間も見た目が重要なのだ。
CANONのIXYを買い直すというのも一案だったが、ニューモデルのそれはあまりにも薄くて小さく、うっかりパスネットと間違えて自動改札にインサートしそうなのでやめた。結局、これがよかろうと購入を決めたのは富士フィルムのFinePixZ1、赤くてなかなか格好が良い。少し小振りの、味のじゅうじゅうしみた厚揚げくらいの大きさで、カバーをスライドさせると電源が入る。いざ写してみると、全然ぶれないし想像以上に綺麗に撮れる。満足のいく買い物だった。今度こそ盗賊から守らねば。
このページにも写真を載せたいとかねがね思っているのだが、そういうことは可能なのだろうか。という以前に、カメラの箱にOSXじゃないとパソコンに繋げませんと書いてあったので、まずバージョンアップから始めなければいけないようだった。道のりがけわしかとです・・・

○○寅男(トラオ)という名前の親戚から祖母宛にお中元が届いた。数十年以上付き合っておいて今さら何を言い出すかとおかしくなるけれど、祖母はトラオという名前がどうも腑におちないらしく「トラオて〜て、なんちゅう名ぞや、親は何を考えとるんぞやのう、もっと優しい名があろうにのう」とお中元の宛名を眺めてしきりに繰り返す。最初は「トラ年なんじゃないの?」とか「生命判断で寅の字を入れた方がよかったんだよ」とか応じていたのだが「それにしたってトラオはなかろぞい」とトラオトラオと連発するので、まずいなと思いながらも笑いの連鎖にはまってしまった。
3秒ほど黙ったと思いきや「そやけんどトラオて〜て、どうなっとるんじゃ」とひと際高い声で言うし「小さい頃親はトラオトラオゆうとったんじゃろか〜?」と別バージョンで追い討ちをかけるので、久しぶりにお腹が痙攣した。
関西人の笑いの王道はrepetitionだ。何度も同じ言動を繰り返すうちにアドレナリンが大放出して別の精神世界へ誘われる。かつてのバンドリーダーA瀬さんもしつこいくらいに同じリフをリピートする曲を好んでいてさすが関西人と感心していたが、まあそういうことである。うちのばあさんも負けず劣らずしつこい、トラオトラオって何回ゆうたかしらん。たしかにトラオはないよな、と私も思いますけどね、トラオってねえ。

投稿者 shiori : 12:14 | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年08月02日

日記: 8/2

母が父の待つ宮崎へひらひらと飛んで行ってしまったので、おばあちゃんと二人っきりになった。出かけに母が「しおりさんの言うこと、よう聞くんよ、野菜もきちんと食べるんよ」と言い聞かせると「いつ帰るん?あした?あさって?」と口をへの字に曲げる祖母であった。麗しいほどの幼児がえりなのだった。
ふと家の中を見回すと、トイレットペーパーも箱ティッシュもシャンプーも台所洗剤も肉も魚も卵もお菓子もなかったので買い出しに行く。ぼんぼん後先考えずにかごに放り込んでいったら、一人では持ちきれないほどの荷物になった。というか比喩ではなく本当に持ちきれなかったのだ。でもそこはなんとか知恵をしぼって、自転車のかごに買い物袋を芸術的に積みあげ、左手人さし指にトイペを、中指に箱Tをひっかけて、右肩にバッグをさげて、瀕死の老人のように小刻みに震えながら帰った。
「適量」という概念が何においてもきれいに抜け落ちていて、そうめんを茹でれば誰か客人でも?と小首をかしげられることもしばしばだし、酒を飲めばア、アル中?と疑われても即座に否定できない感じだし、恋に落ちれば愛が重いんですけどと眉をしかめられたり、ブラブラブラ。
途中までは「適量」を意識したエレガントな装いを目指すのだが、ある臨界点に達すると「しゃらくさい、ええい、やっちまえ」とゴーサインが出てしまうのだった。しかも年々そのタイミングが早くなっている気がする。年をとって辛抱ができなくなっているとか。そういえば字も汚くなったし、掃除も雑になったしなあ、と考えると憂鬱になるが、要は買い過ぎに気をつけたいという話です。

『69 sixty nine』を観る。
村上龍の同名小説の映画化なのだが、映画の方はまあ見なくてもいいかなという感じだった。というのも私はこの小説が好きで何度も読み返して自分のイメージを持ってしまっているので、う〜んそういう感じじゃないんだよな、という違和感が拭えなかった。だいたい主人公が妻夫木くんてのも馴染まない。もっとちんちくりんでなきゃ、村上龍さんみたいにね。
この本を読むといつも人気者オーラって大事だよなと思う。人気者はなろうと思ってなれるものではない。天性の問題だ。いじめられオーラの人がいるように、愛されオーラの人がいる。飲み会に顔を出しても軽く流される人もいるし、皆に歓迎され拍手をもらう人もいる。誰が人気者で誰がそうじゃないか、誰もが知っている。そういうのって残酷だ。
それでも、それは仕方ない所詮この世は不公平、と明るく屈託なく思えるくらい、主人公のケン(つまりは著者本人)は魅力的だ。村上龍の本が売れるわけだよなあと納得させられる小説です。笑えます。

投稿者 shiori : 12:15 | コメント (0) | トラックバック (0)