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2008年02月04日

カタカナ: ドック dock

 言葉としてはドッキング(docking)のほうを先に知ったかもしれない。二つのものが合体するという意味で一年に3回くらい使うが、そもそもドッキングとは宇宙空間で二つの人工衛星を連結させること、転じてものの結合という意を持つようになった。ドック(dock)という言葉は人間ドックで知った。ビックカメラを長らくビッグカメラと勘違いしていたが、人間ドックも最初は人間ドッグだと思っていて、耳にする都度いまだに賢そうな盲導犬の映像がぽわんと浮かぶ。いうまでもなく、人間ドックの現実はそんなに心温まるものではないが。
 ドックはもともとオランダ語で「溝」、転じて船を建造・修理する場所という意味になった。日本語だと船渠という(英語だとさらに派生して、波止場や埠頭、桟橋もさす)。浦賀ドック、函館ドック、向島ドック、と地名とドッキングさせて呼ぶならわし。世界最大のドックはアイルランドのベルファストにあるそうだ。
 そして人間を修理するのが人間ドックである。近年は細分化して、脳ドック、心臓ドックという言葉もある。ちなみに医者はdoctorだが、これはdockとは関係ない。こちらはラテン語で「教える人」という意味。
 アップルコンピュータのOSXの操作システムもドックと呼ばれる。デスクトップの端に複数のアイコンが並んでいて、そこからアプリケーションを選んで使う仕組みだ。わたしはこのドックのおかげで迷子にならなくなった。
 オーティス・レディングに『(sittin'on the)dock of the bay』という名曲がある。僕は日がな一日ドックに腰かけて、船の出入りや潮の満ち引きを眺めているんだ、故郷から遠く離れたサンフランシコ、何かあると思って来てみたけれど、あの頃と僕は何も変わらない、哀しみはいつまでも消えない、という泣かせる歌だ。ドックというのきっとそういう気持にさせる場所なんだろう。

投稿者 shiori : 15:39

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