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2008年01月05日

カタカナ: スキー ski

 日本のスキー人口のピークは90年代前半、当時は1800万人近くいたといわれている。しかしその後は減少の途を辿るいっぽうで、現在は500万人にも満たないとか、確かに周囲でスキーに行ったという話もとんと耳にしなくなったし、今回私が行ったのも実に13年ぶりのことだ。おそらく金と手間がかかるのが原因だろう。道具を揃えて遠方の雪山に出かけなくても、近所でフットサルに興じるほうが格段に安いし、何しろらくちんだ。それでも久しぶりに滑ってみて思うのは、やはりスキーは魅力的なスポーツ、白く輝く斜面を風を切って滑る感じはちょっとない。
 スキー(ski)とは古いノルウェー語で「木板」という意味。積雪量の多いスカンジナビア半島では紀元前から脚に板を履いて滑っていたと言われるが、競技や娯楽として成立したのは20Cに入ってからのこと。現在のスキーはアルプス地方に普及したアルペン(Alpen)とスカンジナビア半島に普及したノルディック(Nordic)に大別される。冬季五輪を想像してもらうといいが、滑降や大回転など斜面を高速で滑るのがアルペン、いっぽう雪原を滑るクロスカントリーやジャンプはノルディックに当たる。私たちが通常楽しむのはアルペンスキーのほうで、スキー板に爪先と踵の両方が固定されているのが特徴。今回も何人か見かけたが、ノルディックの人たちは踵が外れるスキー板を履いて、片膝を追ってターンをしている(テレマークターン)。スピードではなく地形を楽しむ山岳スキーなんかの場合には、このほうが自在に動けると聞いたことがある。
 スキーでもっとも重要なのはターンである。勇気さえあれば、誰だって滑り降りることはできる。でも10度少々の傾斜でも大人の体重なら時速30kmはゆうに出るし、これは恐怖を感じるには充分すぎる速度、ひいては腰がひけてさらに速度はアップ、そのまま木立に突進して骨折、なんてことにならないためにもきちんとターンをして、方向転換とスピード制御することが大事なのである。
 まず初めに教わるのはボーゲンである。正式名称はプルークボーゲン(独:pflug bogen)、プルークは「鋤」(いわゆるハの字)、ボーゲンは「湾曲」のことだ。脚をハの字に開くことでスピードを殺し、体重を左右に移動しながらターンしていく。滑る格好はあまり見映えはしないものの、これさえできればどこでも滑れるという最強のターンである。次にパラレル(parallel)、字義通り左右のスキー板を並行にしたままターンする技術で、これができるかどうかで初級と中級が分かれる。難しいのはいくらボーゲンが上達してもパラレルにはならない、つまり両者はまったく別の技術だという点だろうか。強いていえば、面で滑るのがボーゲン、線で滑るのがパラレル。四輪車と二輪車のような違いがあるように感じられる。そのパラレルターンを早いリズムで切り替えていくのがウェーデルン(wedeln)、ドイツ語で「(犬が)尾を振る」という意味。

投稿者 shiori : 16:19

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