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2007年12月08日

日記: お通夜

 朝一番で病院。心配した家人が一緒に来てくれた。過保護で恥ずかしかった。ひとりっ子という生い立ちのせいで、過保護にはちょいと敏感なのである。自分はそこらのひとりっ子と違って、ひ弱でわがままなんかじゃない!と必要以上に力んできた都合、過保護に罪悪感があっていけない。まあ四の五のいったところで、ひ弱でわがままには違いないんだけども。
 とにかく、今日は家人も一緒に診断を聞く。結果はOKとのこと。よかった。本当によかった。ようやく恐怖から解放されて心も軽やかに、現金なもので、途端に軽口を叩き始める私なのだった。
 午後からお通夜。参列者11名の家族葬である。祖母の家は黒住教という神道で、これは関東にはあまり馴染みがないが、瀬戸内海に面した山陽や四国、九州にはよく見られ、アマテラスオオミカミ(天照大神)を万物の神として崇める宗教である。お坊さんがお経をあげるかわりに、黒住教では神主さんがお祓いをあげ、お焼香するかわりに榊を手向ける、とまあ中身は仏教とさしたる違いはないように思われる。少なくとも仏教とキリスト教ほどは違わない。ただ、これまで数人の神主さんにお目にかかる機会があったけれど、皆そろいもそろって「いい」声で(というのは麒麟の「麒麟です」の声のことです)、低く艶やかな声で詠まれるお祓いを聴くのはわりといいものである。といった具合に私は始終とても平静で、祖母が大往生だからなんだろう、お通夜は淡々と過ぎていった。
 祖母は大島紬の立派な着物を着せてもらっていて、大変結構なことなんだけれど、ふと足元をみると水色のスポーツソックスを履いていて、まこと間の抜けたこと。そういえば亡くなった日も、ドライアイスをたくさんのっけてあるのになんだかぬくい、と思って布団の下に手を入れると、電気毛布がつけっぱなしなのだった。いつもどこか抜けている。家風というやつか。
DSC00450.JPG
 棺にかけられた一畳ほどのこの布は、祖母が自分で編んだもの。彼女は本当に手先の器用な人だった。棺の中には薩摩芋にうどんにおしるこ、好物をたくさん入れてあげた。長い道行きの虫養いに。

投稿者 shiori : 15:21

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