2007年11月07日
日記: Sのこと
中学にSというロック好きの男の子がいて、私は中二の夏にその中学に転入して高校は東京の学校へ進んだから、二年にも満たない付き合いだったのだけど、もし彼に出会わなかったら、私はロックを齧るように聴いたり、ましてやバンドをやろうなんてきっと思わなかっただろう。思春期に受けた影響というのは、こちらの思惑によらず根の深いものなのだ。
恋心があったわけではない。私はMという男の子が好きだったし、もちろん彼にも他に好きな女の子がいた。でも私たちは同じ数学教師にひどく苛められていて(今思い出しても腹が立つ)、まあそういうシンパシイがあったのかもしれない、とにかくSと私は仲良くなって、彼は私に洋楽のカセットテープを何本もプレゼントしてくれた。コピーした歌詞カードを添えて。ジョン・レノンもストーンズもドアーズも、それからプリンスもガンズも、私はSから教わったのだ。一本筋の通った、ギャグセンスのある優しい男の子で、今も昔も彼と友人であることがとても誇らしい。そういう友人はそう多くはない。
高校の三年間はたくさん文通をした。ガンズの東京ドーム公演も一緒に観に行った。ボートが初めて大阪でライブをした時も観に来てくれたし(ギターの人の顔がええなあ、俺は男前のギタリストは信用せえへんねん、と言った)、彼のバンド(インディーズではかなり有名だった)が東京に来た時も観に行った。そんなふうに二年に一度くらいは会っていたものの、ここ7,8年はとんとご無沙汰で、思い出す機会さえ減っていたのだが、それが今日、ひょんなことから彼が現在、京都で貸し自転車屋を経営していることがわかった。貸し自転車屋!らしいて、らしいて、しばし哄笑。西のほうで元気に好きなことをやってるんやなあと思ったら、私もすごく元気になってきて、不貞ていないで頑張ろうとすこやかな気持になった。
ベランダの富士。
投稿者 shiori : 18:11