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2007年11月02日

日記: 火の玉ロック

 久しぶりに時間が空いたので、かねてより楽しみにしていたいくつかの事柄、書棚整理とか衣替えとかパソコンファイル整頓とか、をしようとするもまったくやる気が起きず、やはり愛だの夢だのは追ううちが華、ああいうもんは現実を前方へ牽引する道具に過ぎぬと思ったり思わなかったり。学生時代も定期試験が大詰めを迎えると、きまって部屋の掃除をしたくなり、いざその段になるとやる気が失せるんですシンドロームだったが、ほんと、三つ子の魂って百までだよねえ、てなことを思いながら、ぐうぐう昼寝した。
 ミッシャ・マイスキーのチェロリサイタルを聴きに行く。演目はバッハ無伴奏チェロ組曲2番、3番、6番。マイスキーさんは旧ソ連の生まれで、ユダヤの血をひいている都合、数々の憂き目にあいながら命がけでチェロを弾いてきたという人で、そら、音に魂がこもってるやろ、という安直な期待を裏切らない演奏をする人である。80年代に出したバッハ無伴奏の録音が絶大な評価を得ており、私もそれでファンになったのだけれど、その彼がその曲目でリサイタルを行うというので喜び勇んで出かけたのだった。
DSC00360.JPG
 2番、3番は普通によかった。6番はものすごくよかった。
 無伴奏チェロ組曲の6番というのは演奏家泣かせの難曲、というのもそもそも5弦楽器用に書かれたものなので、それを4弦で弾くとなると、片手でシャンプーするような不便さがあるわけで、マイスキーさんも大汗かいて文字通り格闘してはって、弦が滑る。ピッチがずれる。ボウイングが乱れる。ノイズが鳴る。それは決してエレガントとは言いがたい演奏だったが、ほとばしる熱情と勇気、火の玉ロックといった態で、なかなかいいものを見せてもらった。すがすがしい気分で、プロントでビールを飲んで帰る。

投稿者 shiori : 12:23

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コメント

無伴奏だと、僕は最近は1番のプレリュードです。
シンプルで教則本でもかなり初期にやる音楽だと思うのですが、どこか崇高さをも感じます。
しかし2番、3番が聞けたなんてうらやましい。。。

6番はそもそもチェロでやることが意義という感じで、楽曲を楽しむものでは無い気がするのですが、、、テクニック的にはバイオリンだとそうでも無いので、肩掛けチェロ(スパッラ)を想定しているとか。ボウイングの方向が真逆になりますよね。

マイスキーやら、ムローヴァやら、スラブ系というのは音楽的天才を生むのでしょうかね。圧倒的に情感的な演奏をする奏者が多い気がします。

一番のプレリュードはアンコールで弾いていました
さすが、有名な曲は弾き慣れているとみえて
熱くなっても一糸乱れぬ演奏で
彼のようなプロでも演奏回数が重要なのだと思い知りました

おっしゃる通り、スラヴ系の音楽家は情感豊かに演奏する人が多い
と私も思います
チャイコフスキーやラフマニノフの国と言いますか
感情の込め方がガイジンだなあと

そういえば、少し古い話ですが
よなよなリアルエール(生)飲みました
美味しかった!
あれは何のハーブかしら、覚えのある味がするなあと
思ううちに淘汰されてしまいました
また飲もうと思います

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