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2007年09月20日

カタカナ: テノール tenor

 先日オペラ界のスーパースター、ルチアーノ・パヴァロッティが亡くなったが、彼の声は伸びやかで艶があって力強くて、まことイタリアの青空のようだったと思う。ホセ・カレーラス、プラシド・ドミンゴと並んで三大テノールと称され、そのCD売り上げはストーンズを超えたとも言われている。
 テノール(tenor)とは男声の高音域のこと。ラテン語のtenere(保つ)から派生した言葉である。ピアノ鍵盤中央のド(c1)下のソからオクターブ上のド(c2)あたりが守備範囲。私の音域とちょうど重なるくらいだから、男性には相当高いだろう。男性歌手の花形ポジションで、オペラの演目でも主役はおおむねテノールだ。
 テノールより低い音域がバリトン(baritone)。これはギリシャ語で「重い」を意味するbarysから派生している。レントゲン検査のバリウムや気圧計を意味するバロメータと同じ語源だ。さらに低いのがバス(bass)。英語だとベースと発音する。ベースギターの4弦開放(E)あたりが下限とされている。あんな低い音出るのかと思うが、出るのである。すごい。
 女声で一番低いのはアルト(alto)。これはイタリア語で「高い」という意、つまりテノールよりも高い音域というわけだ。アルトより高いのはメゾソプラノ(mezzo soprano)。mezzoとは半分、中間。ソプラノとアルトの中間ということになる。そして女声最高音域のソプラノ(soprano)だが、これはsupra(ラテン語:〜を超えた)からきている。c1の2オクターブ上のド(c3)くらいまでは楽々出せる人たちである。モーツァルトの『魔笛』に有名な高音アリアがあるけれど、最高音はc3上のファ。こうなると歌うほうも大変だろうが、聴くのもしんどい。もはや曲芸の域。ソプラノはテノールと同じく花形ポジションで、マリア・カラスやシュヴァルツコップといった有名女性歌手はおおむねソプラノである。
 バスであれアルトであれ、プロなら2~2.5オクターブはカバーしているが、素人で聞くに堪える音域となると、せいぜい1オクターブ、少し訓練した人で1.5オクターブというところだろう。小室哲哉が昔ダウンタウンの浜ちゃんに曲を書いたとき、彼の音域が5音くらいなんで苦労しました、と言っていたけれど、まあそんなものだと思う。
 ところで、話し声の音域は歌声に比べてずっと狭い。男性はc2下のラからその上のミ、女性と子供はc1下のラからその上のミ。ちょうど1オクターブ違う。私の声はc1下のソ、と女性の中ではかなり低い部類だった。

投稿者 shiori : 12:14

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