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2007年09月08日

カタカナ: ビリヤード billiard

 初めてビリヤード場に行ったのは16の時。当時は新宿に住んでいたので、学校帰りに東口のビリヤード場に寄ったりして大人気分を満喫していた。しかしながらコーチがいるわけでなし、見よう見まねで棒を振り回していただけなので、ちっとも上達しなかった。以来、年に一度くらいその気になって興じるのだが、幸い私の周囲にはビリヤードに凝る人はいないので、下手同士そこそこ楽しめる。
 ビリヤードの語源は仏語のbille(玉、ビー玉)、15世紀にフランス・イギリス両国で始まったのがその起源と言われている。日本に持ち込まれたのは1850年、オランダ人が出島で興じたのが最初だとか。その後時を経て1980年代後半、映画『ハスラー2』の影響で日本に空前のビリヤードブームが訪れる。折しもバブル期と重なったこともあって街には数多くのプールバーが誕生したが、ブーム消滅と共にそのほとんどは潰れたか、鞍替えしたか、今ではプールバーという言葉自体がセピア色だ。お立ち台やソバージュなんかと同じ類いだ。時々行く渋谷の東口会館は、場所柄なのかいつもそこそこ混んでいるけれど、ビリヤード人口はボーリングの十分の一にも満たないのが現状ではないだろうか。
 ところで、プールバーは和製英語である。正しくはプールホール、プールルーム、という。The facesの『玉突きリチャード』の原題は「pool hall Richard」だった。ビリヤード台をプールと呼ぶのは、台がプールみたいだからではなく、ポケットに玉が溜まるという意から。また、プロのビリヤード選手をハスラー(hustler)というが、ハッスル(hustle)にはそもそも「不正手段で金儲けをする」という意味があり、ビリヤード賭博で儲ける人をハスラーと呼んだわけだ。不良のやるゲーム、という悪しき認識はこのあたりから来ているのだろう。
 日本で主流なのはナインボールというゲーム。1番から9番までのボールを番号の若い順に落としていって、最終的に9番を落とした人が勝者となる。うち8個まで落としていても最後をミスすれば相手の勝ちだし、反対に9番さえ落とせばいいのだからまぐれ幸いも十分あり得る。的玉だけでなく手玉もポケットに落としてしまう(スクラッチという)初心者には縁遠い話だが、ボールを落としたあとの手玉の位置を計算して突けるようになると、ゲームは俄然おもしろくなる。1番から9番までをノーミスで落とすことをマスワリというが、これを達成するのがビリヤード愛好家たちの目標のひとつでもある。スコアシートのマスを割るようなマークで表記するため、この名がついた。英語ではbreak run through。ちょっと格好いい。

投稿者 shiori : 17:34

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