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2007年08月22日

日記: 入院五日目

 向かいの個室におじいさんがいる。姿形は見た事がないが、声から判断するに80前後というところ、このじいさん、看護士の言うことをまったく聞かない、いわゆる鼻つまみもんの患者で、皆手を焼いている様子である。
 しかし聞いているぶんには退屈しない。まず発する言葉のほとんどが「んえあっ」という点に注目したい。しかも塩辛声。今、何度かやってみたが、あの感じはちょっと再現できない。んえあっ。検温しますよ、んえあっ、お通じありますか、んえあっんえあっ、背中が痛いの?、んえああ〜、という具合。
 都合の悪いことは聞こえないふりをする技も持っていて、行く、行かない、どっちなのよっ、と看護士の苛立つ声が時々聞こえてくる。ひどい時は貝のように縮こまって身体に触らせてもくれないようで、もう知らないから、と愛想を尽かされるじいさんである。それでも時々はまともな言葉を発するから油断ならない。「アシ、イタイ」「タイインスル」「バアサン、マダカ」。そういうのを聞くとちょっと可哀想になる。じいさんなりにこの現実に抵抗しているのである。
 今朝は、さあ、起きてご飯食べるよ、との看護士の言葉に「ゆ〜ん」と答えていた。何だ、ゆ〜ん、て。看護士も、ゆ〜んじゃないよまったく、と呟いていて、ベッドでしばし哄笑。
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 相変わらず微熱はあるものの、お腹の痛みはほぼ癒えたので、明後日に退院できることになった。夜勤の看護士さんとおしゃべり。内部事情なども聞いた。主治医のF先生の悪口も聞いた。若くて格好いいから看護士に人気があるのかと思ったら、あれは医者に向いてない、などとひどい言われ様で笑ってしまった。当人は休日返上、目の下真っ黒、身を粉にして働いているけれど、確かに私の目から見ても仕事がさばききれていない様子で、おそらく看護士たちがその尻拭いをさせられているのだろう。
 女医さんとか男の看護士はちらほら見かけるが、病院はまだまだ男性優位の社会、男の仕事を女がサポートする図式は健在である。だから男性医師は女の扱いに長けていなくてはいけない。いっても女は単純、可愛いねと褒めるとか、食事をごちそうするとか、それが無理ならせめて、この前はありがとう、と仕事上の労をねぎらうだけでも態度はしなやかになるものだ。しかし世の中にはそれがまったくわかっていない阿呆な男が結構いて(母親の躾が悪い)、そういう輩は女に総好かんを食っても仕方がないのである。それでも裏を返せば女は機嫌さえとっておえばうまくいくのだから、プライドとやらをふりかざしてごねる男よりはよほど御しやすいと思うのだけど、いかがでしょう。
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マイカメラの最大ズームでバルサの星たちを激写

投稿者 shiori : 16:32

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