« 夫婦別姓 | ホーム | すいっぱどおぞ »

2007年05月25日

カタカナ: カバン

 私たちが普段使っている外来語には日本語に置換できるものとそうでないものの二種類がある。このコーナーの題目を決める時にはなるべく後者から選ぶようにしている、というのは日本語に置換できないのはそのものないし概念がかつての日本にはなかったからで、そういう視点で眺めれば何らかの発見があるかもしれないと個人的には期待しているのだけれど、まあ成果のほどはともかく今回はカバンである。
 実はこれも外来語である。カバスというスペイン語説と挟板(キャハン)という中国語説があるが、いずれにしても文明開化以降に伝来したものである。ではそれ以前の日本にはカバン的なものはなかったのかというと、例えば櫃(ひつ)、葛(つづら)なんかは甲冑や衣服を入れるカバンであり、行李(こうり)は旅行カバンに相当する。水戸黄門御一行が背に結わえているのも柳行李である。ただ素材は革ではなくツタや竹などの植物を編んで作っていたようだ。皮革技術自体は飛鳥時代からあったのだが、大部分は武器や防具に使用していたと見られる。
 カバンと一口にいってもその種類は多数あり、服装と同じでTPOによって使い分けるのが普通だ。子供が学校へ行く時はランドセルである。これはオランダ語のランセルが訛ったもの、もともとは兵士の背嚢として輸入したものだったが、大正天皇が学習院に入学したおりに伊藤博文が献上したことから学生鞄として使われるようになった。
 旅行に行く時はボストンバッグを持つ。これはボストン大学の学生の間で流行したためにこういう名がついた。むろん最近は国内であればキャリーバッグ、海外であればスーツケースという人が多いだろう。
 ビジネスにはブリーフケースと言われる薄手の鞄を持つ場合が多いが、時々ダレス鞄(ドクターズバッグともいう)といってまちの広い鞄を持っている人もいる。これはアメリカのダレス国務長官が持っていたことから命名。アタッシュケースなんてのもある。固い箱形の薄い鞄で、大使館や書記官(attache:アタシェ、仏語)が持っていた。
 アウトドアの際はリュックサック(Rucksack:ドイツ語)である。ナップサック(Knappsack)は小型のリュックサックのこと。バックパック、デイパックもだいたい同じようなもの。女性用の小さいカバンにはポーチ(pouch)といって化粧品などの小物を入れるものもあるし、肩から下げるポシェット(pochette:仏語)もある。

投稿者 shiori : 10:28

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://freedom.s13.xrea.com/blog/mt-tb.cgi/460

コメントを投稿