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2007年04月18日

カタカナ: エラー error

 「歩き回る、間違える」という意のラテン語派生の言葉。同じような語にmistakeがあるが、こちらは判断の誤りや勘違いをいうのに対し、errorは基準から逸れた誤りや過失を意味する。mistakeよりも堅い表現で、非難を含むことも多い。
 となるとコンピュータ画面でよく見かける「エラーが発生しました」というメッセージは非常に感じが悪い。「君がおかしなことをするから動かなくなったんだよね〜」と言って我々を責めているのである。あるいはこちらが何もしていないのに突然「エラーが……」と訴える時もあって「僕は悪くないのにさ、おかしいよね」とふてぶてしい感じさえする。水をぶっかけてお仕置きしてやりたいところである。
 野球にもエラーがある。「失策」と訳されるが、野手がトンネルしたりフライを落っことしたりして送球に失敗するとエラーマークが点灯する。野球というのは実にシビアなスポーツだ。ここまで厳密に責任の所在を追求する団体競技は他にないのではないか。今のはヒットなのかエラーなのか、ワイルドピッチ(暴投)なのかパスボール(取り損ね)なのか審判を下して記録に残すのである。グレイゾーンが嫌いというか徹頭徹尾分析的というか、さすがアメリカーノ。打率とかセーブ数とかやたら記録にこだわるところをみても、野球というのは個人競技なんだなあとつくづく思う。
 サッカーにもバスケにもファウル(反則)はある。サッカーでは悪質なファウルの場合にはカードが出て、相手側にはフリーキックやペナルティキックなどのアドヴァンテージが与えられる。バスケでも反則があればフリースローを行う。しかし一対一で抜かれたりトラップミスでがきっかけで失点しても、たとえオウンゴールしても「この人がぼんくらなので失点しました」とオフィシャルに記録するわけではない。カメラも特定の個人をぬいたりはしない。
 しかし野球は違う。「X、痛恨のエラー!」と叫ばれて絶望的な表情が大映しになる。むろん記録に残ろうが残るまいがエラーした人の心情に変わりはないだろうけれど、野球って殺生なスポーツですなあ。好きだけれどね。

投稿者 shiori : 14:59

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