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2007年03月13日

日記: 式典

 新横浜に向かう大通りを歩いていたら、前方から紺の背広を着た人の群れが押し寄せて来る。横浜アリーナで会社の式典か何かがあったのだろう、威勢良く大股で歩く彼らと私の距離はぐんぐん縮まり、やがてはその群れに飲み込まれ、エジプトを脱出するモーセのように人の海を割って歩くのだけれど、その波はいっこうに収まる気配がない。むしろ鉄砲水のごとく増え続けその数は3万人をくだらないように見受けられ、おまけに彼らの顔はその格好と同様ほとんど画一的な表情をしていて、そのことに疑問を感じている人間もほとんどいないようで、目眩というか吐気というか、私はすっかり人気にあてられてしまった。
 彼らと私はその昔机を並べたこともあっただろうに、ずいぶん遠く離れてしまったものだ。残念なわけではない。誇らしいわけでもない。私は私の道を行くしかないと思うだけである。
 という物思いの脇で家人は「この人たち、きっと全国育毛コンテストの帰りだよ」とか「マイクロダイエットの決起集会かもしれないね」などと騒いでいた。あるいはそうだったのかもしれませんね。
 式典といえば数年前にバイト先の決起集会に参加したことがある。好みでないのはもちのろんなのだが、実はそれほど退屈でもなかった。この中で男色は誰だとか不倫しているのは誰だとか、癌細胞に気付いてない気の毒な人は誰だとか一番早く死ぬのは誰だとか、そんな想像を重ねて時には笑いそうになったりして、いささかけったいな趣味ではあるけれど、少なくとも社長の訓話に耳を傾けるよりははるかに有益だと思われる。もちろん二度と参加したくないけれど。

投稿者 shiori : 17:32

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