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2007年03月13日

カタカナ: イースター Easter

 キリスト教国家ではないのにクリスマスがここまで年中行事として定着している国もめずらしいと思うのだが、日本の節操のなさについて論じるのはまたの機会に譲ることにして、今日はイースターである。
 復活祭とも呼ばれ、キリスト教においてはクリスマスと並んで、あるいはそれ以上に重要な行事である。クリスマスがイエス・キリストの誕生日だとするとイースターは二回目の誕生日、人間イエスが神になった日である。イエスは人類の罪を一身に背負ってゴルゴダの丘で十字架にかけられいったん息を引き取り、三日後によみがえる。とにかく、よみがえったのである。その日を祝うのがイースターというわけだ。
 この歴史的な出来事がなければ世の芸術作品は半減していたのではないかと思われるほど多くの芸術家たちが事の顛末を銘記してきたし、最近でもメル・ギブソンが『パッション』を撮ったように今後も芸術の格好の題材であり続けることは間違いない。なにしろ死んだ人間が生き返ったわけだから、みんな思うことは色々あるわけである。
 宗教なんてものは「生き返った」と告げられれば生き返ったことになるのだから、復活がフィクションかどうか論じることは無意味だし、宗教を離れたとしても意味のないことだと私は思う。それは例えば『カラマーゾフの兄弟』が実話どうか議論するようなもので、たとえすべてがフィクションだったとしても素晴らしい物語というのは実話を越えた輝きを放って人々を魅了するのである。
 イースターとはもともと「輝く」という意味。復活祭の日付は「春分後の満月直後の日曜日」と太陰暦時代に定められ、これを太陽暦を採用する現在に適用すると毎年日が異なることになる。ちなみに今年は4月8日、来年は3月23日、という具合である。
 欧米ではサッカーのリーグ戦がお休みになるほど国民的な休日。イースターエッグといって殻に絵を描いた卵を飾ったりして祝う風習もある。墓から出てきたイエスを殻を割って外に出るひよこになぞらえてのことだそうだ。卵形のチョコレートも多く出回っている。ヨーロッパのお菓子屋の軒先にはこの時期になると色とりどりのイースターエッグが並び、なかなか可愛らしい。そういえば昔日本にもチョコの殻を噛み砕くと中からおもちゃが出て来るお菓子があったが、あれはクリスマス同様イースターを定着させる商戦だったのだろうか。だとしたら目論みは外れたようだ。

投稿者 shiori : 17:29

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