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2007年02月09日

日記: 七味をかけたほうが旨い

 たまには男と女の話でも書こう。
 まだ出会って間もなく燃えさかる火のごとく愛し合う恋人たちがいたとして、それが一瞬にしておじゃんになることはよくある。彼らは熱病を患っているので、お互いのある側面ばかりを偏愛してのめり込み、運命の人に出会ったかのような錯覚をするのだけれど、まあ熱なんてものは必ず醒めるのであって、冷静を取り戻してあたりを眺めてみると、なんであの人に入れ込んだのか、自分の馬鹿さに対する腹立ちを手伝って、あれはなかったことにしましょうと互いに素知らぬ顔をする。
 では何がきっかけでおじゃんになるのかというと、得てしてつまらないことだ。寝顔がだらしなかっただの、よく聞くと同じ話しかしていなかっただの、実はケチだっただの、そういう類いである。
 変わったところだと、阪神大震災のショックで彼女に対する一切の興味を失ったという友人がいた。彼は東灘区の出身で、故郷が破壊されてしまったのである。これはよくわかる。彼女のほうは何が何だかわからないと肩を落としていたけれど、世の中にはそういう理不尽がままあるものだ。
 スペインに旅行中の彼女から電話で別れを告げられた友人もいた。何かあったのかと問うと、何もないけど急に嫌になった、と言われたらしい。同情はするが、これもわからなくはない。
 南米に二週間行くというので見送ったら、戻ってきて突然ふられた人もいた、というのは何を隠そう私の話なのだけれど、駅のホームで抱擁を交わし離陸直前まで電話で話して別れを惜しんだはずなのだが、帰国した彼はずいぶんと素っ気なくなっていた。残念だったけれど、気持はよくわかった。
 いずれにせよ、短期間で不意に終わってしまう関係というのはその程度の縁ということだ。そういう経験は滑稽で少しもの哀しいけれど、悪くはない。カツ丼にかける七味のように、人生の彩りみたいなものだと考えている。

投稿者 shiori : 12:39

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