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2007年01月28日

日記: 盗人タケダケシ

 本当に信じられないことだが、母がガスをつけっぱなしで外出していた。私が実家に行った時にはすでに二時間が経過していて、豚汁はすべて水分が蒸発して煤けた具だけの状態、家中に焦げた匂いが充満していた。
 実はこれが初めてではない、というのがさらに恐ろしいのだけれど、とろ火をつけっぱなしで鍋を焦げ付かせたり、消し忘れて安全装置が作動したり、片手で足りる話ではない。その都度いい加減にしろと怒ってきたけれど、結局こういうことは本人が心を入れ替えない限り周囲が何を言っても無駄なのであって、やはり今回のような事態になってしまった。中火で鍋を燃したまま出かけるなんて、本当に救いようがない。
 どんなことでもそうだけれど、ミスをするのは仕方がない。そこは互いに寛容でありたい。しかしその後ミスの原因を認識して修正する努力を怠るのはいけない。あるいはそういう努力のできない体質ならば、人に委ねる謙虚さを持たなくてはいけない。そこで妙な負けん気を出されても話はどんどんややこしくなる一方で、ミスはいつまでも繰り返されるままだ。
 私がこういうことを言い出すと潔癖だの神経症的だの優しくないだのと非難されることになっていて、本人が一番堪えているのだからとなだめられたりする。確かに私もついかっとなって語気が荒くなるのは申し訳なく思うのだけれど、本当に堪えている人が同じミスを何度も繰り返すだろうかという疑問もあって、目下火事を回避するという最重要課題を前にしてそんな文句を言う前に「IHヒータに替える」とかいう案を検討する頭はないのかねと言うと、人を欠陥人間みたいに言うなと抜かす始末、日々世の会社で行われていそうなやりとりだと思ったら何だか可笑しくなって、「だって欠陥人間じゃなかったの」と笑いながら問い返すと、「まあ欠陥人間だけどさ」と母も笑っていた。
 父は、とりあえず、と言いながら「ガスの火を止めたか」という大きな看板を拵えて、玄関に吊るしていた。それを見た母は、これでもう消し忘れない、と喜んだ。絶対にまた忘れる、と思ったけれど今日のところは勘弁してやった。必ずIHヒータ導入を説得してみせると心に誓いながら。

投稿者 shiori : 11:53

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