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2006年12月14日

日記: すっとした人

 祖母がもう可愛らしくて仕方のない朝であった。布団にすっぽり埋もれて、顔だけちょこっと出してほやっと笑っている。キーホルダーにして持ち歩きたいぐらいだ。以前ヒステリィだったなどとにわかには信じがたいものがある。好きなことを好きなだけやって納得のいった人のみが辿り着ける老境といった感じだろうか。本当に上手に枯れたと思う。
 彼女の足は萎えて腕のように細くなり、筋肉が弱ってしまって寝返りもうてない。それでも生きているので、うんこもするし、目やにも溜まるし、口内も汚れる。当然だけれど、好ましい匂いはしない。けれど、祖母を疎ましく感じたことは一度もなく、むしろやってあげられることがあってよかったと思っている。祖母が好きだから、そう感じることができる。
 それでも家にやってくる訪問看護士さんたちは、祖母のことなんてちっとも知らないのに、人の嫌がることを誠意をもってやってくれていて、そういう姿を見ると心が洗われる。私も働こうという気持になる。世の中には反吐が出るような人間がたくさんいるけれど、そういうきれいですっとした人がいる限り、この世のことは嫌いになれない。
 夜は過門香という中華料理屋の惣菜を食べた。市販の惣菜は結構なお金を払っても不満足なものが多い。ひとえに油の量と調味料の塩梅が馴染まないのだと思うけれど、ここの惣菜は素人では作れない中華の味がしてなかなか美味しかった。渋谷の東急百貨店では焼鳥の串くらという店ばかり贔屓にしていたが、選択肢が増えて嬉しい。

投稿者 shiori : 09:26

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