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2006年12月01日

日記: depressed

 Xと飲んだ、と書くなり言うなりした場合、Xと私は既知の仲、日時と場所を事前に取り決め「やあやあ、元気でしたか」と片手をあげて近況を報告し合い、いつくかの思い出話と今後の展望について語らう、そのわきには焼酎とうるめいわしと吸殻。というようなことを指すのであって、そういう意味では私は町田さんと飲んでいない。居合わせただけだ。
 彼は非常に紳士だった。引き合わせてくれた友人もしかり、招かれざる客であっただろう我々が居心地の悪いことのないように心を砕いてくれたし、もちろんいくつかの友好的な会話も交わした。それでも思うのだけれど、一方的に知っている人、ファンである人と話すのはしんどい。基本的に話すことがないのである。おおらかに振る舞えるほど、今の自分を気に入っているわけではないからいっそう話すことがない。うかつな野暮を口にするのも憚られるし、かといって興味がないわけではないから視線が下世話になったり、こういうのは嫌だなと思った。おかげで目一杯飲んでしまった。
 帰りのタクシーの中で、人生をあやまった気がしてひどく落ち込んだ。そして自分が変わらなくてはいけない時期に来ていることを痛感した。隣では家人が穏やかな寝息を立てていて、それはとても素敵なことだけれど、それとこれとは関係のないこと、人と担い合える荷物は案外少ないのだ。

投稿者 shiori : 09:34

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