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2006年11月04日

日記: SWEET JOAO

 コネで取ってもらった素晴らしい席で、ジョアン・ジルベルトを堪能する。一昨年もその前もそうだったと聞いていたので驚きはしないのだけれど、本当に75分遅れの開演だった。まだ会場に到着していませんだの今ホテルを出ましただのいうアナウンスが流れて結局5,000人の客を75分待たせて登場、ギターを大事にそうに抱えてよぼよぼ歩き(齢70を越えた老人です)ぺこりと頭を下げて「ごめんなさい」といっておもむろにつま弾き歌い始めるジョアン。75分待った甲斐のある演奏を聞かせるのだからさすがである。
 とはいえ遅刻の罪がファンタスティックな演奏で購えるかといえばそうではない。それはそれ、これはこれである。稼ぎは少ないのだけれどセックスは獣みたいにすごい夫(※これはフィクションです)がいたとして、極小の稼ぎをセックスで損失補填できるわけではないのと同じことである、と書いている本人がなんだかよくわからなくなってきたのだけれど、とにかく今度は遅刻しないで頂きたいということです。
 それにしても今夜の演奏は本当にチャーミングだった。足すものも引くものもない完璧な世界。清廉なのに色気があって、朗らかなのにもの哀しくて、夜中の3時と昼の3時が一緒に訪れたような感じがする。そういうのって簡単にできるものではない。

投稿者 shiori : 09:03

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