2006年11月26日
日記: 宿酔
1、同じなれど
酒豪伝説というウコン錠剤も昨晩の酒量には勝てなかったようだ。頭痛と倦怠感で、ひもすがらのそのそ過ごす。体質だと思うのだけれど、飲み過ぎるとあまり眠れない。昨晩寝たのは3時を回っていたはずだから10時くらいまで熟睡したってよいものを、朝7時には目覚めてまんじりとせず、大昔にあった不愉快な出来事や自分のこっぱずかしい発言などが芋づる式に思い出されて、いっそうひどい気分になる。
そういえば、太宰の話ばかりだけれど、先日『母』という短編を読んで思わず笑ってしまった。泥酔して夜中にふと目を覚ました主人公のセリフである。
「……というあたりから後悔がはじまり、身の行末も心細く胸がどきどきして来て、突然、二十年も昔の自分の奇妙にキザな振舞いの一つが、前後と何の連関も無く、色あざやかに浮かんで来て、きゃっと叫びたいくらいのたまらない気持になり、いかん!つまらん!などと低く口に出して言ってみたりして、床の中で輾転としているのである」
そういうことなのである。しかし大先生と同じだ!と喜んだところで、私のやりきれない気持はいかんともしがたい。小説ではその後、主人公は隣室の興味深い話し声を耳にすることになるのだけれど、私の場合、家人の安らかな寝息が聞こえるだけであって、おもしろくもなんともない。腹いせに腕をつねってみると「ぷすっ、ぷすっ、ぷすっ」と妙な音を出して抵抗していた。少しだけれど、憂さが晴れた。
2、湯豆腐
そういう日の食事は湯豆腐に限る。水に昆布を放り込み待つこと1時間、白菜と葱の青い部分を入れ火にかける。煮立ったら鶏肉を入れ、最後に白葱と豆腐を浮かべておしまい、どんなぶきっちょでも出来る料理である。だし醤油をまわしかけ、かぼすかすだちをちゅっとしぼって、湯気の立ち上るうちに頂く。美味しい。荒んだ胃腸をやんわり包み込み、再び酒が飲めそうな心地になる。そして実際に飲んでしまったりする危険な料理である。
ポイントは美味しいお豆腐を買うことだ。冷や奴は少々不味いものでもなんとかなるが、湯豆腐の場合そうはいかない。一丁100円くらいのものだと防腐剤やらくず大豆ばかりが匂い立ち、まるで新聞紙を食べているよう、できれば200円以上のものを求めたし。栄養や手軽さを考慮すれば決して高い買い物ではないですぜ、奥さん。
投稿者 shiori : 11:46