2006年11月25日
日記: full
1、阿弥陀くじ
空きの出た駐輪場の権利をかけてくじをひく。もちろんはずれる。こういうところで稀少の運気を使ってしまわなくてよかった、といつものように負け惜しむ。すると必ず「確率は偏るものだから、その考えは間違えている」と家人が指摘するのだけれど、何度説明されても意味が理解できない。したり顔で熱心に説明してくれるので、ふむふむと神妙に聞くけれど、まあ途中から聞いてないのであって、頭と口は別々に動くのだなあなどと思いもって「なるほど」と相槌を打つ。家人も「うん」と満足げである。円満で何よりである。くじの線の引き方が阿弥陀の光背に似て放射状であったためそういう名がついた、と広辞苑が言っていた。
2、整理券
近所のスーパーが午前10時から11時に特売整理券を配布するというので取りに行く。その券があれば12時までなら全品3割引でお買い物できますという。なんか変である。どうして「10時から12時までは3割引」ではいけないのだろう。整理券を配るほど混んでいないし、寒空の下エプロン姿で券を配るおじさんも気の毒である。整理券という響きが客寄せになると思ってのことなのだろうか。確かに繁盛しているようで聞こえはよいけれど、実際に赴けば見かけ倒しは一目瞭然、余計にイメージダウンなのではないか。よくわからない。しかし貴重な券であることには変わりない。黒毛和牛4等級を1,000円引きで入手できた。滅多に買わないビーフ、今晩は来客があるのだ。
3、totally drunk
XとYが来訪。
ビール 350ml×3
ブルゴーニュ スパークリング
キャンティ・クラシコ・レゼルヴァ
サンテステフ コス・デストゥルネル(1996)
ジェイコブズクリーク・リザーヴ・シラーズ
ランブラン シャブリ
ビール 500ml×3
を4人で飲み干す。大虎になる。
4、上の空
調子の悪い時に村上春樹を読むとさらに調子が悪くなる、とXが言うので「調子が悪いとどうなるのですか」と質問すると「さらに上の空になる」とのことだった。最近、上の空について興味があったので大変有意義な会話だった。上の空にも二種類ある。案件があるから上の空、なのか、案件もないのに上の空、なのか、私が気になるのはむろん後者のほうである。すべての事象が春の小川のようにさらさらと流れて行き、自分だけ異なった時間軸で動いている感じ、あのぽっかりした感覚は少なくとも20代中頃にはなかった。上の空のあなたに何があるのか、私はまだ知らない。
5、you don't know Bordeaux
ボルドーは最低2時間はデキャンタージュするべきだった。味に凄みが出て来た頃にはもうグラスの残りはわずか、悔しかった。それにしてもどうしてあんなに美味しいのだろう。世界は本当に広くて深い。最近子供がさっさと人生を終わらせてしまうけれど、今眺めている世界がすべてではないこと、自分は世界についてほんの少ししか知らないことを教えてあげなくてはいけない。それが大人の役目なのだ。
6、塩梅
隣室で寝ている祖母の様子をちょくちょく覗く。心もち微笑んだ目で天井を見上げていて、声をかけるとほやっと笑う。そういう人のことはどれだけ酩酊していても忘れるわけにはいかない。でも祖母のために酒を加減したりもしない。べろべろのままおむつ交換すればよい。介護というのは責任と自由の塩梅が重要である。
投稿者 shiori : 17:08