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2006年11月17日

日記: Are you Rocky?

「ロッキーさんですか」という電話がよくかかってくる。「ロッキーさんへ」というFAXも時々入る。当然だけれど、私はロッキーではないので戸惑うことになる。先方も私がロッキーではないことに戸惑っている。電話番号を読み上げてあなたはロッキーではないのかと不審そうに問い返す。確かにその番号だけれど私はロッキーではないと我慢強く答える。先方は明らかに落胆した様子で電話を切る。こちらも忌々しくなって舌打ちしたりする。
 それで、ロッキーて何、という話なのだが、これがなかなか難しい。予測しにくいのである。ある時は名古屋の中学の先生から「体操服の件でお電話しました」という留守電が入っていた。ある時は女性から「こんな夜分にお電話するのもなんですから明朝連絡待ってます」というFAXが入っていた。「18日までに返せないのだったらそれなりの措置を講ずる」というのもあった。何だかさっぱりわからない。ロッキーなどという勇ましい名を名乗るならせめて借金は返済してほしい。間違い電話はただでさえ不快なのに、そら恐ろしいなんて勘弁してほしい。
 それでも、押し違いや伝え違い、数字のことなので間違い電話を根絶するのは不可能だろう。自分も時々間違えるのだし、大目に見なくてはという気持がある。でもいたずら電話は別だ。あれはひどい。受話器の向こうで知らない男にいやらしいことを言われたりすると、その日一日気分が浮かない。着信拒否ができるようになってからはずいぶん減ったけれど、以前は結構悩まされた。
 そういえば今から数年前、こんなことがった。携帯電話を落とした時のこと、それが運悪く変質者に拾われてしまった。どうしてわかったかというと、女の友人全員に同じような不愉快な電話がかかってきたのだ。律儀なことに、アドレス帳を順番にかけていったのだ。うんこみたいな男である。気弱だったのか、一度凄んだらかかってこなくなったけれど、あのときは本当に申し訳ないことをした。それでも祖母の家にまでかけていたのにはちょっと笑った。「ほうよ、おしっこ飲ませてじゃのゆうて妙な電話がかかってきたんよ、ちいと頭がおかしいのじゃろぞい」とのことだった。年齢を知ったら男も仰天しただろう。
 その祖母だが、この一ヶ月でほとんど喋らなくなってしまった。はい、おはよう、さいなら、くらいしか口にしない。淋しい限りである。それでもこちらは今までと同じように話しかけることにしている。表情を見ていると、話の内容は理解している様子だからだ。その証拠に時々的を得たことも言う。今日も「おばあちゃん、90年生きてるってすごいね」と改まって驚くと「ほうよ、ばかみたいに」と捨て鉢な顔で答えていた。祖母が生きていて、私は嬉しい。

投稿者 shiori : 09:23

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