2006年10月18日
日記: あなすがすがし
下北沢に行ったら、ばったりばったり次々に昔の知り合いに出くわした。いずれも私がバンドをやっていた頃の友人だ。ざっと五年ぶりというところだろうか。当時はあの界隈で週に一度ライブをしていて、必ず朝まで飲んで延々とわけのわからない話をしていた。皆どこか上の空で、嬌声と擬態語ばかりを口にしていた。虚しくてそれゆえ甘美な、から騒ぎの記憶が蘇った。
その頃の私ときたら、今にもちぎれそうな恋にしがみついていて今晩彼に会えるかどうかで頭がいっぱい、呼び出されたらすぐに行けるようにあの界隈を動くことができなかった。歯ブラシと着替えをいつも持ち歩く日々。飲んだら飲んだぶんだけ会いたくなって自己規制が効かなくなり、ますます恋を失いそうになる。その悪循環を呪って、また酒を飲む。ずいぶんひどかった。にもかかわらず、さらにひどい時代がまだ到来していないのが何よりひどかった。
その彼にもばったり出くわしたので驚いた。あれから彼も私もトラブルを抱えてぼろ雑巾のようになってしまったけれど、なんとか暗黒の淵から這い上がって、お互い良き伴侶を得ることができた。よかったと思う。彼もよかったねと言った。それ以上でもそれ以下でもない。実のところ彼にまつわるよくない噂を耳にすることもあって、ものを思わないこともないのだけれどそれはもう私には関係のないこと、遠くから幸せを願うしかない。彼がこれまで私にしてきたように。
清々しい夜だった。
投稿者 shiori : 11:51