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2006年09月22日

日記: ハピネス

 賑やかな日々を通り過ぎて、それはそれで素晴らしいかけがえの時間だったと振り返るのだけれど、同時に自分が日常をどれほど愛しているのか痛感している。
 二十代の時分は祭事を楽しみに生きているふしがあって、何もない日常を退屈だと感じることも多かった。様々な出会いと体験を求めてどこまでも行ってしまう若さと馬鹿さがあった。むろん今だって十分に若くて馬鹿なのだけれど、当時のような気楽で無防備な感じはやはりなくなった。
 身体と思考というのはhand in hand、一方の変化に合わせてもう一方が自然にシフトしていくものだ。むかし二台の車が並走しながらカーブを綺麗に曲がるCMがあったけれど、イメージとしてはああいう感じである。お互いの声を注意深く聞いて思いやる優しさがあれば、カーブを美しく曲がることができる。しかしそれをないがしろにしていると歩調が乱れ、その結果病気になったりするのだ。
 そういう意味で、規則正しい生活を望むようになったのは自然なことなのだろう、数年前から私は毎日定刻に起きて、ルーティーンをこなし、定刻に寝る、そんな日々を楽しむようになった。何が楽しいのかと首をかしげる人もあるのだけれど、おそらくこれはダンスのようなもので、リズムに合わせて動くうちに湧き出る情熱や興奮があるように思う。それは静かだけれど深くて、とても力強い。日常というのは何もないからといって何もないわけではない。毎日同じことをしていても昨日と今日は確実に違うのであって、それが希望であり明日への活力でもある。
 穏やかに晴れた朝、こうやってパソコンに向かって文章を書いていると喜びが身体に満ちていく心地がする。窓の外を見るとすぐそこの屋根で茶色の猫がひなたぼっこをしていて、先ほどは丸まっていたのだけれどあまりにも気持がいいのだろう、今はのし棒でのしたように真っ平らになって寝ている。触ったら柔らかいだろうなと想像しながら続きを書く。幸せである。

投稿者 shiori : 12:49

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