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2006年08月11日

日記: プロ意識

 ご当地銘品を食するというのは考えてみれば、エッフェル塔をバックにはいチーズだの、握手してくださいサインちょうだいだのいうのと同じこと、普段はそういうミーハー然としたものをせせら笑っているくせに、鼻先に食品がちらつくとどうも行動規範が緩くなってしまう。
 名古屋に着いて10分後にひつまぶしを食べた。あつた蓬莱軒というその店の軒下には100人ほどの婦女たちがとぐろを巻いて行列していたが、我々の興行主は鰻屋とねんごろのようで、すぐにヴィップ席に案内されて少々気まずかったが、茶漬けは実に旨かった。歌ったり踊ったりお仕事をこなしたのち、今度は名古屋コーチンを食べた。海老ふりゃあも食べた。味噌カツも食べた。ぜんぶ御馳走になった。
 と書けばこの上ない贅沢のように響くが、実のところそういうわけでもなく、結局のところ人は自分の金で好きなものを好きな時に食べるほうがよほど贅沢である。当たり前のように聞こえるが、そういう感覚を実感できたのは最近のことだ。おそらく今までは御馳走になることの代償に気付かぬくらい、元気だったのだろう。
 プロ意識という言葉がたいそうに扱われるけれど、支払われる賃金に見合った仕事をするために鍛錬しようという発想は、身体の衰えを実感して、自分の守るべき生活がはっきりと見える段になれば自然発生的に湧くものなんじゃないだろうか。
 体力という視点でメンバを観察していると、確かに皆さん、省エネがお上手、何が疲れて何が疲れないのか知り尽くしているようで、演奏もさることながらそういうところもプロなのだなあと感心するのだった。

投稿者 shiori : 14:38

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