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2006年08月10日

日記: 傷痍軍人

 大阪は中之島公会堂にてライブ。歴史的文化財に指定されている、いわゆる明治の洋館でなかなか瀟洒な建物なのだけれど、天然リヴァーブが大量発生する造りになっていて、結局のところ何なのかよくわからないうちにライブが終わった。自分の出す声なり音なりが響くというのは気持のよいもので、お風呂で熱唱する心は万人共通なのだけれど、同時に細かいピッチやリズムのことはどうでもよくなるのもまた共通していて、今日のライブのライン録音は封印しようと皆口々に言っていた。
 お盆休み初日だったようで駅は大混雑、白い網と黄緑色の虫かごをぶら下げた少年なんかを見かけて、ふうんと思った。昭和の風景といえば、新幹線のホームで万歳三唱して新婚旅行に送り出す、なんてのも見なくなった。傷痍軍人の物乞いも見なくなった。駅のコンコースやなんかでポータブルデッキで軍歌を流し(あるいはハーモニカ生演奏)、義足や義手をむき出しにして土下座するあれである。単なる物乞いと違って、物乞いとなり果てた理由を全面に押し出すあたりが子供心にもあざとく感じたものだが、あのおじさんたちももうとっくに死んでしまったのだろう。
 昼間にそんなことを考えていたら、午前3時くらいにマイケルさんが突然、傷痍軍人の話を始めたので驚いた。少年の虫かごを見て同じようなことを思ったのかもしれない。打ち上げでさんざ飲んで、さらにホテルで部屋飲みをしていた時のこと。

投稿者 shiori : 11:58

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