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2006年08月01日

日記: I work,for it's summer

 祖母の退院の日。病室に迎えに行って、これから家に帰るのだと説明するのだけれど、わかってんのかどうなんだか、人さらいにでも遭ったようなこわばった顔をしていて、失礼しちゃうわと彼女をたしなめつつ帰宅して気付いたことには、あ、聴診器、忘れた、自転車を飛ばして再び病院を往復しておひるごはん、口元におべんとさんをひっつけたまま電車に乗ってスタジオでリハーサル初日。あ〜う〜は〜ふ〜、マイクロフォン片手に青色あるいは桃色吐息。
 今何してるの?、だの、ご職業は?、だのと、現在の状況(とりわけ収入に関する)をよく問われるのだが、ポリティカリーコレクトな身分を持たぬ人間にとってはなかなか答えづらい質問で、例えば「介護がてら歌も歌います、うふふ、いくつか野望もありますよ、あ、そういえば結婚しました」などと答えたとしても相手はなんだかよくわからないから「ヤボー?」などと余計に質問されたりして、こちらもなんだってあんたにこんなこと説明せなあかんの、という気分になってきて非常に面倒くさい。
 となれば、それ以上の詮索を拒むような回答をすればいいのであって、ある時、そうかそうか、「いやあ、ぷらぷらしてんすよ」と答えればいいことに気付いた。すると必ず「どうやって食ってんの」と問われて「いやあ、実家が金持ちでね」(※フィクションです)と答えれば、なんだか汚いものを見る目でねめられるものの話は打ち止めになるのだった(※ノンフィクションです)。
 母にその話をすると、あんたのその厚かましさには頭が下がる、などの嫌味を言われるのだけれど、まあ大学卒業以来10年にわたってけったいな生活を送っていれば、そういうずぶとさは身に付くというもの、まあしかし、他愛ない会話で毎回そこまで工作するのも消耗なので、普段は「季節労働者です」と答えてお茶を濁すことにしている。たいていは予想外の答えに脱力するのか、苦笑されて話は終る。喜ばしいことである。暑い夏は労働の季節なので、はりきって働きたいと思う。

投稿者 shiori : 11:41

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