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2006年07月20日

日記: ごっくん

 病院通いが続いている。祖母の言葉は多少聞き取れるようになってきたが、彼女が回復しているのか、こちらが慣れたのか、定かではない程度の話である。それでも「やっほ〜」と手を振ると、祖母は「やっお〜」と返事した。そういうところは変わらないのは朗報である。
 しかし言葉が聞きづらいというのは、実はさほど重要ではない。問題なのは嚥下である。つまり、話せないということは食べ物をごっくんできないことであり、結果、鼻に管を入れて流動食を流し込む羽目に合う。脳梗塞を起こすと、この症状に陥る人が非常に多いそうで、確かに病棟を観察していると鼻に管をつけている人の多いこと、しかし鼻から胃に直接入れるのだから味もへったくれもあったものではないし、咀嚼というのは案外大切で、止めてしまうとぼけることもあるという。憂鬱な話である。
 だからそうならないために、ごっくんの練習を毎日することになった。水をしみ込ませた太い綿棒で喉の奥をつついて、唾液を出して、それをごっくんするのである。それを朝昼晩10回、おばあちゃんはこの世の終わりのような顔をするが仕方ない、私もがんばるからあんたもがんばれと励まして喉をつんつん、なかなか得難い体験であるなあと、どういうわけか、力が湧いてくる。

投稿者 shiori : 09:12

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