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2006年07月09日

日記: 切り替え

 脳梗塞とは脳の血管が詰まる病気で、手足に麻痺が出る場合や、祖母のように構音障害を起こしたり、はたまた脳みそがあっちむいていく場合もある。基本的に高血圧の年寄りに多く、水分が不足しがちな夏が発症しやすい。祖母の場合、原因ははっきりしないが、MRIという脳の輪切り写真を撮ってみるとそこらかしこに小さい脳梗塞の痕があり、まあご高齢なので仕方ないですね、という話だった。治療のためには血液をさらさらにする薬を点滴して、詰まりを取るのだけれど、彼女の場合、同時に脳出血も起こしていて、さらさらにしてしまっては今度は血が止まらず、点滴の塩梅が難しいらしい。本人も死ぬことを熱望しているし、家族もまあ死ぬなら死ぬで、といった感じだったが、いざこういう段になると欲なもの、もう一度元気になって家に帰ってきてほしいと願ってしまう。
 おばあちゃんの発語は相変わらずで、解読が困難きわまりない。昔流暢に喋っていた記憶を参照してしまうと哀しくなるので、今日からは気持ちを切り替えることにした。こういうことに関して、私はとても諦めがいいのだ。「おばあちゃん、残念だけど、何言ってるかじぇ〜んじぇんわからんかった」と正直にいうと、祖母は力が抜けたのか、くすくす笑っていた。それでも何かを執拗に訴えるので、「どこか痛い?」とか「遺言があるの?」とか当たりをつけるのだけれど全部首をふって埒があかず、結局20分かけて解読した言葉は「遅いから早くお帰り」だった。ずっこけたので、じゃあ帰るよ、と握手をして祖母と別れた。

投稿者 shiori : 08:13

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