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2006年07月05日

日記: 怒る

 すごく腹の立つことがあった。その場には、私の怒りに気付いていない人たちと気付いている人たちがいた。そして気付いていない人たちはたとえ気付いてもなぜ怒るのかわからないし、怒るなら怒らせておけばいいと考えていて、気付いている人たちは気付かぬふりをしよう、あるいは、私の怒りをなかったものにしようと努めていて、つまり私は面倒くさがられているのだった。怒らなくても孤独なのに、怒るともっと孤独になる。
 怒鳴り散らしたりできればよいのだけど、私には怒る才能がないので感情が内向きに溜まるばかり、ではどんな面をさげてその場に居るのかといえば、それはもう満面の笑みなのだった。
 ある種の復讐と言えるのだけれど、まるで何もなかったかのようにできる限り平然と振る舞い、自分も相手も欺くことでどうにか安定を得ることができる。笑うことと泣くことは似ている気がしてならない。なぜそんなややっこしい天の邪鬼を演じなければならないのかしらないが、とにかくそれが私のやり方のようだった。
 言ってやりたいこと、つまりは言ってはいけないことを山ほど思いつくのに、そのどれも言えたためしがない。それが私の覚悟のなさであり、意地悪でもあり、優しさでもある。また言えずじまいかと後悔しながら、まともに相手にしなくてよかったとほくそ笑み、それでも相手を必要以上に傷つけなくてよかったと安堵する。いつもそうだ。
 怒ると疲れるので怒りたくないのだけれど、生きていれば致し方ない時もある。でもたいがいは次第に鎮火して、よほど決定的なことでない限りは相手を許せるようになるが、そのぶん相手に対する関心や執着が微妙に変化するのもまた事実、怒っても言ってはいけないことを言っても元の関係に戻れるのは血縁の身内だけだと思い知った。

投稿者 shiori : 14:19

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