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2006年06月26日

日記: 工作

 数年ぶりに工作をした、とはいえプラモやNゲージをおっぱじめたわけではなく、必要に迫られて線を引っ張ったり紙を切ったりしただけなのだが、そんな安易な工作でもやればやったで、つつつと知らぬ間によだれを垂らすほど熱中するものである。そういやその昔、紙切りかなにかに没頭して気がついたらスカートもじょきじょきに刻んでいたことがあった。確か灰色のひだスカートで、切り口がやたらと豪華だった。もう大人なのでそういった事態にはならなかったが、5センチ四方の世界にぐっと集中してトリップする心地は今も変わらない。文章を書く時や楽器を弾く時とはまた異なる集中形態で、それは使う脳や身体の部位が異なるから当然なのだけれど、冬眠していた機能が目覚める感じでなかなかよかった。
 しかし、これがお裁縫だとてんで集中できなかっただろうと思われる。基本的には似た作業であるが、最大の違いは紙と布の材質の違い、布のてろっとした感じがどうも不自由で苛々してくるのだ。世の中には暇さえあれば編み棒やら刺繍針やらを取り出して手芸に励む婦女がいるけれど、あれをやるくらいなら万力やかんな片手に楊枝入れでも作るほうがずいぶんいい。
 それでも針だけは重宝している。実は昨日も使った。何をするかというと、棘を抜くのである。どういうわけか知らないが、私はよく手足に棘が刺さる。なんだか痛いと思って目を凝らすと、指先に黒い粒のような棘がたっていて、そんな時はさきっちょをライターであぶった針で、皮を薄く剥いて棘をひっかき出す。ぽろっととれるとこれはもう万歳三唱の気分で、私はとげぬきが嫌いではない。幼少の時分にとげぬき地蔵に親しんでいた因果とかなんとか。

投稿者 shiori : 15:12

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