« 『ロック母』 | ホーム | family affair »

2006年06月16日

日記: be natural

 今回のW杯で何が楽しみかって、アルゼンチン戦の折に絶妙のタイミングで映し出されるマラドーナの表情ほど胸躍るものはない。目にするたびに、腹がげらげらと音を立てるくらい笑ってしまう。ずんぐりむっくりの身体に空色縦縞のユニフォームを着用し、満面の笑みで短い両手をつき上げ、布切れをぶんぶん振り回し、と思えばある時は深刻な顔で手を叩いて、横やら上やら下やらの人にせわしなく話しかける。しかし今回はアルゼンチンは調子がいいので、たいがいは子供のように喜んでいて、マラドーナの再来(何人目だ?)メッシ登場の際には段から転げ落ちそうな勢いだった。そういえばこの人はスーパープレイヤーだったな、と思い出してはまた笑ってしまう。
 連れている女もすごい。いかにも鈍重で仏頂面、スーパーマーケットのレジを打っていそうな地味な女なのである。マラドーナと手をつないで座っている映像を見て「女の趣味は悪いやね」と思わず呟いたほどだ。しかし考えてみると、マラドーナもサッカーをやっていなければスーパーの警備員というていだし、ましてや脂肪吸引手術なんかをするちょっと左巻きの人なのでお似合いなのかもしれないやね。
 しかし私はマラドーナを見て考えた、日本のカズやヒデがブルーのユニフォームを着てスタンドから日本戦を応援することがあるだろうか、と。確かにバティストゥータがそうはしないように、人にはそれぞれスタイルがあって、二枚目は二枚目の、三枚目は三枚目のやり方があってしかるべきだけれど、日本の選手はまだまだ必要以上にすかしていると思う。サポーターにしてもそうだ。
 これは彼らが悪いわけではなく、この国にまだサッカーが根付いていない証拠である。サッカーに対する愛情を自然に表現する意識と土壌がないということだ。伝統がないとはそういうことだ。サッカーをすること、好きであることが特別だと感じる気分が抜けて、いつしかそれは当たり前になり、そしてもう一度やはり特別なスポーツだと思える段階に到達しない限り、日本は世界で戦えるチームにはならない。日本においてサッカーは、野球の足元にも及んでいないのだ。
 何はともあれ、マラドーナの笑顔が悲しみで歪むのは見たくないので、アルゼンチンにはぜひとも最後までいってもらいたい。もし優勝したら、マラドーナは、どうなっちゃうんだろうか。サッカーボールに変身したりして。

投稿者 shiori : 06:38

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://freedom.s13.xrea.com/blog/mt-tb.cgi/244

コメント

こんにちは。初めて書き込むものです。いきなりでスイマセン。

マラドーナが手を引いてつれてきたのは自分の娘、というウワサあり。

それはそれで面白いんですが、圧倒的に子離れしてない感が(笑

>Mr.初心さん

書き込み、ありがとうございます!
娘。でしたか(目玉ぼ〜ん)
道理で、お似合いで
アルゼンチンvsメキシコでは彼の姿がなく、大変淋しい思いをしました
他チャンネルのハイライトには映っていたので、NHKが故意に映していない気がする
ひどい
また気軽に書き込んでくださいね!

コメントを投稿