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2006年03月27日

日記: BY ON

人間の声質を決定する要素のひとつとして倍音というのがある。カタカナ表記をすればハーモニクス、理科的に説明すれば、振動体の発する音のうち基音の振動数の整数倍の振動数を持ち、基音より振動数の高い音、なんたって書いている本人がよくわかっていないのだからあなたがわからなくて当然です、要はこういうこと、全力疾走したら息が上がってはあはあしますね、そのはあはあの要領で声を出すとほら、死にかけの婆さんのような声が出ました、これが倍音たっぷりの声なのです、と私は便宜的に考えているのだけれど、コーラスをする際にはこの倍音の調節というのがなかなか厄介で、というのも多すぎるとジェシー(にば〜いにば〜いの)のように何を言ってんだか不明になってしまうし、少なすぎると千秋(えんどうの嫁)のようにただでさえ苛立たしいのにさらに苛々するのであって、喉やら腹の筋肉を総動員して工夫する必要がある。それにやってみればわかるのだが、倍音多めの声は燃費が悪い、つまり息漏れが激しいぶんすぐに減衰してしまい、加えて声量もない身としては「だ、だいじょうぶですか?」とエンジニアに訝られて赤面する始末、しかしそんな私に朗報があった。今回のレコーディングからR&B仕様マイクなるものが導入されたのである。
声質にも流行り廃りがあるのだなあと感じ入るのだけれど、90年代の日本はコムロ音楽に代表される高音倍音カットボイスが大流行、猫も杓子も地声の張り上げに勤しんでいたが、世紀が変わると全体的に曲のキーもテンポもぐっと下がりR&BとHIP-HOPがシーンを席巻、力の抜けた歌声が求められ自然と倍音の需要も高まりここに倍音を多く拾うマイクの登場、と踏んでいるのだが、これがまた本当によく倍音をキャッチする。そもそも私の声は倍音多め、それをしゃあしゃあいわせてしゃあしゃあマイクで歌うものだから全身銀紙になった気分、倍音デイズが続いているのだった。
昔の正統R&Bはもちろん現在のもわりと好んで聴くけれど、最近皆がこぞって連発する「あん、あん」(鼻濁音というかNとGの合体した発音記号でどうぞ)だけはどうも馴染めず、笑ってしまっていけない。「あん、あん」って何だよう、低い声で甘えるなよう。

投稿者 shiori : 16:42

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