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2005年10月14日

日記: 10/14

祖母がまた排便中に気絶した。耳元で怒鳴っても肩を揺さぶってもびくともしない。一度経験済みだとはいえ悠長に構えているわけにもいかないので、あたふたと動き回る。しばらくして意識を取り戻して事なきを得たのだが、彼女はぼんやりと天井を見つめて言った。
「ありゃ〜、また戻って来てしもた」
「ざ〜んね〜ん、おかえり〜」
拍手で出迎える私であった。
「にしたって、うんちしながらすっぽんぽんで死ぬのはどうかと思うよ」
と苦言を呈すると
「・・・ほ、ほうよのう。死ぬ時は綺麗に死にたいわいのう」
としみじみ。それでも「気絶」というのは肉体的負担が大きいのだろう、その後こんこんと眠り続けて再び起きたのは夕食前。
「お腹すいた」と言いながら食堂にやってきたので「具合はもうすっかりよくなったの?」と聞くときょとんとして首をかしげた。
す、すごい、忘れてる・・・

と極楽な祖母は母に任せておいて、私はイタリア料理を食べに行く。
いとよりのソテー、スモーク仔牛のグリルなど、ワインも含めてそこそこ満足した。少し離れた席に若い美人さんが座っていて10くらい年上の恋人と楽しげに食事をしていた。金曜の夜、美味しい料理と和やかな会話、二人は親密に時を重ね・・・るはずだったところ、何が起こったのか唐突にその美人が泣き叫び始めた。「お金じゃなくて心でしょ」とかなんとかすごいことになってきて、男は慌ててチェックしようと立ち上がり、女は荷物をひっつかんでヒールをがつんがつんいわせて外に飛び出していった、とドラマにありがちな光景を目の当たりにした。
私の記憶によれば、噴火の5分前に二人そろってグラスワインを追加注文してち〜んと幸福の鐘を鳴らしていたはずなのに、果たして噴火の予兆はなかったのだろうか?あの男がうすらとんかちで予兆を見逃したのだろうか、それともある種の女性というのは本当に唐突にキレるものなのだろうか?
と様々な疑問が浮かんだが、結局私はあの彼女が少々うらやましいのだった。あんな風に公衆の面前で泣き叫べたら・・・と思うけれどそんな芸当は何回生まれ変わってもできそうにない。おそらく恥の感覚が私とは大幅に異なっているのだろう。
それにそういう行動って美人の余裕よね、とも思う。だってブスのヒステリーなんて目も当てられないじゃないか。美人というのは小さい頃から自他共に「腐っても鯛」で生きてきているから精神が奔放なのかもしれない、などと推察しながらオリーブをかじってワインをなめた。私は私でけっこうと思う瞬間。

投稿者 shiori : 11:24

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