2005年05月14日
日記: ボケ三昧
1、鷺沼の老人ホームに住む、もうひとりの祖母モモちゃんを見舞う。
彼女はその昔、相当な美貌と頭脳を持ち合わせるたぐいまれな女子だった。だから、なのか、なのに、なのか、薄幸の人生だったが、今は完全ボケなので、すべてを忘れ去ってすごく幸せそうだ。
私の顔を見て「あら、奥さん、よう来てくれはったねえ」と笑った。
ボケたもん勝ちですよ、この世は。
「あれは100才コースだな・・・」
モモちゃんが杖なしですたすた階段を下りるのを眺めながら、母親に顔を忘れられた息子(私の父)が半笑いでつぶやいた。色んなものがぎゅっとつまっていて、なかなか笑える光景だった。
老人ホームは通奏低音のようにうんこが臭っていて、最初はううむと思うが、不思議なことにそのうち慣れる。
ボケにも慣れる。全部慣れる。やっほ〜。
2、ボケ率5割と数字をのばしつつある、入院中の祖母を見舞う。
来週あたりには退院できる、というのは喜ばしいのだが、歩けることはないそうで、毎日の下の世話を思うと頭がくらくらする。
ちょうど来ていた叔父(祖母の息子)が
「歩けないけどまだまだ生きるらしいけん、早いところボケてしもた方が楽やで、おそらく」
などとさわやかな笑顔で祖母を脅していた。
口をへの字に曲げた祖母の顔が漫画みたいで、笑い倍増だった。
生きていればこそ、のおかしみなのだった。
3、フィーリングカップルに参加したもう一人の女子がモデル体型のものすごい美人ちゃんで、男子がどよめていた。
「同じ生き物とは思えない・・・」と見比べられて、つぶやかれた。私も激しく同意見だった。
20代前半なら間違いなくやっかんでいじけていたはずだ。
というのも、その昔は自分がかわいい部類に入るのではないか、と早合点していたからだが、「かわいい」のではなく単に「若い」だけだったと若さを失ってから気づいた。30になった今は、自分の出しどころもわかってきて、肩の力も抜けていい感じだ。美人ちゃんにも、ライバル心を燃やす必要がないと思われるせいか、妙に好かれるようになった。
珍味系の余裕・・・
というわけで、和やかに食事を頂く。パエリアと生ハムが美味だった。
投稿者 shiori : 14:54