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2005年01月19日

日記: チンパンジー

その祖母と一緒にクイズ番組を観る。
次のうち、とけないものはな〜んだ?
こおり
みず
クイズ
ゆき
・・・はいっ、み、みずっ!
ぴろろろ♪
だとかいう邪悪な罠を素早く見抜く問題で
次のうち、花じゃないのはど〜れだ?
チューリップ
コスモス
チンパンジー
カーネーション
・・・(冷笑)チンパンジー!
ぴろろろ♪
と私が威勢よく答える横で
祖母「チンパンジーて〜て、花じゃろ?」
私「・・・」(腹が痙攣)
祖母「うちの庭にもぎょうさん咲いとった」(きっぱり)
私「がはは、それはパンジーでしょ、チンパンジーは猿だよ、
 チンはいらない、チンは、がはは」
祖母「ほうかな、ほな、チンってなに?」
私「・・・」(再び腹が痙攣)
(ここですかさず口を挟む母)
母「チンは猿よ、猿ってこと。
 チンパンジーはパンジーみたいな顔、しとろ?」
祖母「ほうよのう、ほうほう」(にこにこ)
私「・・・」(再々度腹が痙攣)

チンパンジー問題は
母のアポロンの神託のような
暴力的な言葉で無事解決したのですが
正しいことが何も偉いわけではないんです
モノを知った大人なら誰でも
口にしそうな口上も
実践するのはなかなか難しく
東に間違いを口走る者があれば
ああ、あなた、それは違いますよ
と、咄嗟に人さし指を立て
西に浮かれ調子の者がいれば
ああ、お前は何もわかっちゃいない
と、思わず首を振ってしまうもの、
しかし例えばチンパンジーの場合
私たちにとって最上の幸福は
ずずずと熱いお茶をすすり
ふううと穏やかな溜息をつくこと、
正しいことをどれだけ正しく教示しようと
それはただの野暮
色気もなければ毒気もない。
老人と暮していると時々
諦めにも似た脱力の後に見え隠れする
色や毒といったものについて考える。

投稿者 shiori : 16:08

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