2007年08月12日
カタカナ: バルコニー balcony
家のチラシに載った間取り図を眺めるのが好きだ。マンションだととかく広い部屋に目がいきがちで、風呂場に窓がないから駄目だとか動線が少なくて嫌だとか、ケチをつけて楽しむ。100平米以上あると俄然燃える。おそらくひがみ根性というやつだろう。
しかしそれを差し引いても最近のマンションはスカしてやがるなと思うのである。だいたい15畳を「15J」と表記するセンスがよくわからない。欧米か。畳という古い度量衡を温存したまま欧米ぽくやりたいというその心がさもしいではないか。
時々見かけるDENというのも不可解である。これはもともと「野獣の巣穴」を指す古英語、転じてお父さんの書斎を指すそうだが、父権を主張するわりに2.5Jとかいう狭さがもの哀しい。だいたい今時のお父さんは読書をしないだろうに。
バルコニーという表記も気になる。バルコニー(balcony)とはバルコン(balcone:梁、角材)から派生したイタリア語、もともと劇場の上階に張り出した円座のことを指す言葉だ。建物で言うとローマ教皇が出て来て手を振ったり、ジュリエットが身を乗り出して「ああ、私のロミオ」と叫ぶ場所なのであって、花を飾ることはあっても断じて洗濯物を干す場所ではない。
イメージがお洒落なのでベランダに取って替わったというのが通説のようだが、ベランダ(verandah)は「長いバルコニー」を指すヒンディー語、だから日本のマンションの場合ベランダと呼ぶほうが正しいのである。
ルーフバルコニーとは下階のバルコニーを利用したバルコニーという意だが、日本では広いバルコニーを差別化してルーフバルコニーと呼ぶようだ。テラス(terrace)は庭に張り出した舗装済みのスペースのこと。屋根はないのが普通。ポーチ(porch)は張り出した屋根つきの玄関を指す。
投稿者 shiori : 13:08