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2007年01月15日

日記: インソムニア

 夜中の3時過ぎに地震があった。遠くから寄せてくる地鳴りで目が覚めて、ああ来るな、と身構えると、がたがたと揺れ始めて10秒ほどで収まった。とりたてて言うこともない月並みな地震だった。しかしどういうわけかその後眠れなくなって、いきおい朝の6時までまんじりとせず過ごす羽目に合った。一年に一回くらい、こういうことがある。
 一ヶ月ぶりにジムへ行き激しい運動をしたので、足が重かったのもある。ひきつるような、のされるような、そんな痛みだ。全身が妙に火照っていて頭も冴え冴え、冷たい場所を求めて手足をもぞもぞ動かし、忌々しくなって5分置きに体位を変える。
 地震に嫌気がさしたのもあった。いつもそうなのだけれど、とうとうでかいのがきたか、と一瞬覚悟して、意外にも小さな揺れに安堵すると同時に肩透かしにあった気分になる。断じて言うが、名前のつくような記念碑的な地震を待ち望んでいるわけではない。家が焼けたり人が死んだり、はっきりいって、あれはこの世の地獄である。それでもおかしな話だが、プチ地震が来るたびに小便を我慢しているような心地になって、いっそのことじゃああっと放尿してしまえばどれだけ気持がいいだろう、などと想像してしまうのである。しかし、震度2程度ではそういう快感を得ることはもちろん、恐怖からの解放感を味わうこともできない。不安が鬱積するだけだ。執拗になぶられるようで、地震は本当に疎ましい。
 私は基本的に楽観的な人間だが、さすがにこういう夜はものを憂うところもあり、地震につられるようにして、いくつかの個人的案件について考え始めたらとても眠れなくなった。どしどしと新聞配達の人が階段を上る音が聞こえる。今日はいくつか予定もあって一日しんどいのだろう、憂鬱きわまりない。しかしそのうちにそんな物思いにも疲れてしまって、すると身体の緊張がほどけて少し楽になり、ようやく眠れそうだと安堵してまどろみかけたその時、悪魔の高笑いのような音を立てて目覚まし時計が鳴った。私はぬおおおおっと叫んで、頭のてっぺんまで布団を引っ張りあげるのだった。

投稿者 shiori : 11:52

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