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2007年01月08日

日記: 温暖湿潤の女

 それでガルシア・マルケスの新作はそりゃもうすごい本だった。筋書きはとりあえず、というか相当ろくでもないのだが、文章が素晴らしくて、私は彼の紡ぐ物語の中に身体ごとすっぽり入ってしまった。その証拠に、途中うたた寝すると、物語を後追いする夢を見た。そういう体験は初めてかもしれない。
 サッカーでも音楽でもそうだが、南米に触れるといつも人間にとって風土がいかに重要なものかを痛感することになる。半ばやけくそともとれるようなあの陽気さには最後まで違和を覚える。それはむろん心地よい感情なのだけれど、一抹の淋しさは禁じ得ない。こっちの水は甘いぞと誘われても、そっちには行けないのですよ、なぜなら私は温暖湿潤の女なのですから。
 そしてついに『百年の孤独』の一頁を開いた。確実におもしろいのはわかっていて、それゆえにもったいなくて読めなかった小説のひとつである。案に違わず、最高。分厚い本なので、少々読み進めたくらいでは減らないのがよろしい。

投稿者 shiori : 10:28

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