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2007年08月31日

カタカナ: セ氏 ℃

 ℃のCはセリシウス(Celsius)さんのCである。彼は18世紀のスウェーデンの物理学者で、温度目盛を提唱した人だ。彼の名前を中国語で書くと「摂爾修」になるので、摂氏とも呼ばれる。水の凝固点と沸点を定点としてその間を百分割した値を1℃と呼んだわけだが、現在のセルシウス度の定義は「熱力学温度(K:ケルビン)から273.15減じたもの」ということになっている。
 平たくいうと、熱力学温度(K)というのはセルシウス度よりも正確なものさし。つまりセルシウス度の定点とされる氷点や沸点はあくまである気圧下での値、気圧が変わればその値も変わってしまう(例えば富士山頂ではお湯が沸くのに時間がかかる)。そういうあやふやなものを基準にするのはいかがか、ということで登場したのが熱力学温度である。
 熱力学によれば、氷と水と水蒸気という三相が共存できるのは気圧と温度がある数値に定まった時だけ(水の三重点という)である。そこでこれを定点にしてより正確な温度計を作ろうという話になり、精密な実験を行ったところ、その温度は氷点より0.01度高いことが判明した。さらに、これ以上低くはなりえない温度(絶対零度)を測定したら、−273.15℃だった。この下限温度を0ケルビン、水の三重点を273.16ケルビン、と定めたのが熱力学温度である。ゆえに上記のようなややこしい定義になっているわけだ。ただ、目盛の幅はセルシウス度と同じなので「C=Kー273.15」となる。ちなみにケルビンはイギリスの物理学者の名。
 ファーレンハイトという温度もある。°F、華氏、などと記す。これはドイツの物理学者ファーレンハイトさんのF、および中国名「華倫海特」の華に由来している。そもそもは氷と塩の混合物の温度を0度、人の体温を96度に定めたのだが、その後、より安定している水の氷点と沸点をそれぞれ32度、212度と決めた。セシリウス度との換算は、36.8℃=98.24°F=309.95K。
 華氏は英語圏では馴染み深いものだったが、1960年代以降メートル法移行に伴いセルシウス度を採用する国が増えた。現在でもしぶとく華氏を使っているのはアメリカ合衆国。ヤード・ポンド法にしてもそうだが、国粋的というか、野暮というか、アメリカだよなあ、と思う。ヤードの話はまたどこかで。

投稿者 shiori : 16:13

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